ファンにもみくちゃ…「元」稀勢の里がようやく見せた笑顔
「やっぱりすごい人気だな」-。シャッターを押しながら思い続けた。16日に引退会見を行い、翌日国技館にあいさつ回りに訪れた荒磯親方(元横綱稀勢の里)。
稀勢の里の入りを待つカメラマンを見て、大勢のファンも駆けつけた。これから何が起きるのかを察したのだろう。
主役が登場すると、ファンもカメラマンも走り回った。もぎり周辺、その後国技館の中に入り、エスカレーターや店の回りを歩く稀勢の里をその場に居る人が追いかけた。
一番驚いたのは、国技館の2階席に稀勢の里自身が足を運んだこと。相撲観戦中のファンも気づくや彼の元へ飛んで行き、現場はもみくちゃ状態だ。そんな中で丁寧にファンと握手を交わし、笑顔が絶えなかった。今まで応援してくれたファンへの恩返しだろう。
ファンを愛していたからこそ、ファンに愛された稀勢の里。2年前に入社してカメラマンになってから彼の笑った顔を撮影した記憶が全くなかったが、ようやく笑顔の写真を撮れたことが本当にうれしかった。
取材後、データを見返している時にふと思った。「俺も相撲ファンの一人として、追いかけて正面から『お疲れさまでした』」と言いたかったな、と。(デイリースポーツ・中田匡峻)