キャンプならではの光景だ。現役時代を彷彿（ほうふつ）とさせる打撃フォームでロングティーを行ったのはロッテ・福浦和也２軍ヘッド兼打撃コーチ（４５）である。

　９日午後、ロッテの２軍本隊がキャンプを行っている沖縄県石垣市中央運動公園第２球場に快音が響き渡り、白球が南国の空に吸い込まれた。

　背筋が伸びた構えからの、美しいスイングは健在だ。そばで見ていた井上が、少年のように瞳を輝かせた。

　現役時代に“幕張の安打製造機”の異名を持ち、２０００本安打を達成したレジェンド。２度のシーズン最多二塁打と史上唯一の３年連続４０本以上の二塁打を記録するなど長打力も兼ね備えている。

　シーズン中の練習でコーチがロングティーを打つことはない。時間のあるキャンプ中だからできることである。２０００本安打を記録したバッティング技術を言葉で伝えるのは容易ではないだろう。百聞は一見にしかず。キャンプならではの“実演指導”である。（デイリースポーツ・開出牧）