高校生に完敗した伊藤美誠 顔を覆ったタオルで必死に押さえていた感情

こみ上げるものを押さえていた-。卓球・全日本選手権女子シングルス6回戦で高校生に“完敗”し、タオルで顔を覆う伊藤美誠=27日、東京体育館(撮影・開出牧)
女子シングルス6回戦でミスショットを繰り返しぼうぜんとする伊藤美誠=27日、東京体育館(撮影・開出牧)
女子シングルス6回戦で思うように体が動かず、ユニホームをつかんで顔をしかめる伊藤美誠=27日、東京体育館(撮影・開出牧)
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 こみ上げるものをタオルで覆っていた。高校生にまさかの“完敗”を喫した日本のエース、東京五輪代表の伊藤美誠(22)=スターツ=だ。

 27日の卓球・全日本選手権(東京体育館)の女子シングルス6回戦で、大阪・四天王寺高の横井咲桜(18)に1-4で敗れた。悔しさをにじませながら横井とタッチをかわしコートを出ると、タオルで顔を覆った。

 汗を拭くというよりは、こみ上げるものを押さえているように見えた。タオルを下ろした時に目に光るものはなかったが、その後のインタビューでは涙ながらに前日から体に痛みを抱えていたことを明かした。

 試合中に何度も、状態の悪さが見て取れる表情があった。ミスショットするたびにぼうぜんと立ち尽くした。ユニホームをつかんで顔をしかめる一幕もあった。痛みと戦っていたのか、思うように動かぬ体に悔しさを募らせていたのか。コートサイドの至近距離から撮影していた私は、試合後に彼女がタオルで顔を覆った時、泣き出すかもしれないとさえ思った。

 2018年のスウェーデンオープンで世界ランク1位の朱雨玲をはじめ中国人選手をことごとく撃破し、中国では“大魔王”というあだ名で呼ばれるようになった。2022年の東京五輪では金、銀、銅すべてのメダルを獲得し、名実ともに日本のエースとなった。追われる立場となり、大きな期待とプレッシャーを背負っていたにちがいない。

 新年早々、パリ五輪選考対象の同大会の6回戦で高校生に負けるとは、夢にも思わなかっただろう。本来の卓球ができなかったという悔しさは、推して知るべしだ。この屈辱をバネにパワーアップした“大魔王”を見たい。

(デイリースポーツ・開出牧)

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