ＷＢＣの戦いに備えた１１日間におよぶ侍ジャパンの宮崎強化合宿は２７日、無事打ち上げとなった。

　このキャンプで、チームの中心になったのがダルビッシュ有（パドレス）。そしてもう一人、チームのシンボルとなったのはオリックス・宇田川優希だ。キャンプ序盤はチームになじめずにいた右腕をダルビッシュが気遣い、休日には「宇田川さんを囲む会」と称した食事会を開催。徐々に仲間と溶け込んでいくうちに、自慢の投球にも磨きがかかった。

　２５日のソフトバンク戦では、当初９回１イニングの登板予定だったが、ソフトバンク打線に捕まったオリックス・宮城大弥の代わりに７回途中から登板すると、続く８回にも快投を見せ、無失点に抑えた。

　合宿最終日の手締めの直前、スタンドに投げ入れるためのボールを手にしたダルビッシュが宇田川の前に歩みより「宇田川さんサインお願いします」とリクエスト。洗練された流れるようなダルビッシュのサインの横に丁寧に「宇田川優希」と漢字で書き込んだ。ロッテ・佐々木朗希ら投手陣が見つめる中、うれしそうにサインボールを手にしたダルビッシュ。宇田川の成長を最も喜んでいるのは、彼かもしれない。（デイリースポーツ・吉澤敬太）