西武・松井稼頭央監督 同期のロッテ・福浦和也監督代行と笑顔で握手 ファインダー越しに感じたドラマとは
西武・松井稼頭央監督の笑顔に、プロ野球人の壮大なドラマを見た。
17日、オープン戦のロッテ対西武(ZOZOマリン)の試合前だ。三塁側ベンチから歩いてホームに向かう西武・松井監督の相好が崩れた。視線の先には、一塁ベンチから歩いてくるロッテ・福浦和也ヘッド兼打撃コーチ(47)の姿。メンバー表を交換すると、笑顔で握手を求めた。監督に就任して初めてのロッテとのオープン戦。よろしくお願いします、という気持ちもあるだろうが、旧友と久しぶりに再会した喜びを噛みしめるような笑顔は、どこかほほえましかった。
それもそのはず、二人は同い年で、同じ年(1994年)にプロ野球界に足を踏み入れている。それだけではない、二人には類似点がいくつもある。高校時代は投手だったこと。プロ野球(パ・リーグ)に入ってから野手に転向したこと。最初から活躍できたわけではなく、人知れず流した汗と涙が実を結び、通算2000本安打を達成したこと。パ・リーグのライバル球団の主力としてしのぎを削った記憶が、走馬灯のように駆け巡ったに違いない。
巡り巡って古巣の指揮官としてメンバー表の交換をしたのである。福浦ヘッド兼打撃コーチは、WBCで日本代表の投手コーチを務めているロッテ・吉井理人監督の代わりに指揮を執る監督代行だが、将来的にロッテの監督となる可能性は十分にある。
試合は2対2の同点のまま最終回を迎え、西武が佐藤龍世の左越え2点適時打で勝ち越し、逃げ切った。たかがオープン戦、されどオープン戦。両軍ともに開幕投手が先発し5回を投げ、小刻みな投手リレー。どこか勝利へのこだわりを感じさせる采配だった。記録には残らないオープン戦だが、ドラマを感じさせる、記憶に残るゲームだった。(デイリースポーツ・開出牧)