１７日に東京体育館で行われたレスリングの明治杯全日本選抜選手権で、公式戦１２２連勝で女子５３ｋｇ級を制した藤波朱理。今大会初戦となった１６日の準々決勝では東京五輪金メダリストの志土地真優にフォール勝ちし“霊長類最強女子”と言われた吉田沙保里の１１９連勝超えを果たした。

　とにかく強い。笑顔がすてきな１９歳だが、ひとたびマットに上がれば、眼光鋭く長い手足で相手に襲いかかる。瞬時に相手を仕留めるスピードとテクニックはさながら猛獣の様。女王・志土地を相手に終始攻め抜き圧倒した。

　向かうところ敵なしの藤波だが、強いだけではない。試合に臨む時とマットを下りる時の一礼は美しく、試合開始時と第２ピリオド開始時には必ず相手と握手。志土地を破った際も、金メダリストに敬意を示すかのように腰を折りながら手を差し伸べ、握手して相手を起こした。おごりなどみじんもない謙虚さは１９歳そのもの。

　出場権を得た９月の世界選手権でメダルを取れば、初の五輪出場も決まる。来年パリで輝く藤波の笑顔が今から楽しみだ。

（デイリースポーツ・吉澤敬太）