ロッテ・小川龍成内野手 体を張った“ヘッスラ”でビッグイニングを呼び込んだ
高校球児も真っ青の、ガッツあふれる“ヘッスラ”だ!プロ入り4年目のロッテ・小川龍成内野手(26)だ。
26日の対ソフトバンク(ZOZOマリンスタジアム)の五回1死一、二塁で三塁線に絶妙なセーフティバントを転がし、50メートル5秒台の俊足を飛ばしてトップスピードに乗った。三塁手の栗原陵矢が懸命に一塁へ送球。小川はスピードを殺さず一塁べースに向かって、弾丸のようなヘッドスライディングを見せた。執念の内野安打。スタンドから大歓声が上がり、ベンチのナインも拍手とガッツポーズでたたえた。
一死満塁から荻野が左飛に倒れ悔しさをにじませると、続く岡が押し出しのデッドボールを受け、雄たけびを上げながら何度もガッツポーズ。さらに高部がサードへの内野安打で、悪送球を誘うヘッドスライディング。ランナーが2者生還。さらに二死一、三塁からソトが左越え2点タイムリー二塁打を放ち、1点リードの終盤で投手陣を援護するビッグイニングとなった。
この日はブルペンデーで小刻みな投手リレー。7回に沢村の3者連続四球で無死満塁のピンチを迎えたが、6番手の鈴木昭汰が気迫のピッチングで代打・中村晃を投ゴロ併殺、三森を遊ゴロに打ち取り、“完封リレー”のバトンをつないだ。8回に7番手の国吉が山川にタイムリーを打たれたが、2死満塁からマウンドに上がった益田直也が川村を3球三振に。完封リレーとはならなかったが、勝利に向かって必死にバトンをつなぐ投手陣の踏ん張りは、ロッテベンチのすぐ隣のカメラマン席にも、ひしひしと伝わってきた。
一塁ベースは、ヘッドスライディングより駆け抜けた方が速いと言われるが、小川の場合は、スピードを殺さずベースの直前でヘッドスライディングするため、むしろ速いのだろう。ZOZOマリンスタジアムのベース周辺のアンツーカーは、盗塁の際のスタートなど脚をいかした攻撃を考慮し、固くしてある。滑りもいいはずだ。しかし、ベース直前のヘッドスライディングは、一つ間違えば大ケガをするリスクもある。
語り継がれる「10・8」の記憶がよみがえる。1994年10月8日。最終戦同率決戦となった中日対巨人(ナゴヤ球場)の、3点を追う8回、中日・立浪(現中日監督)が巨人・桑田投手から三塁線に高いバウンドの打球を放ち、一塁へヘッドスライディング。内野安打となったが、スピードを殺さないベース直前のヘッドスライディングだったため左手が強くベースに当たり、左肩を脱臼した。勝った方が優勝という大一番だけに、リスクはあっても、駆け抜けるよりも速いヘッドスライディングを敢行したにちがいない。
小川や高部が体を張ったヘッドスライディングを見せたのは、勝利へ執念とともに、投手陣の頑張りに応えたいという思いがあったからだろう。
首位ソフトバンクを3タテし、破竹の8連勝。勢いだけではない強さを感じた。(デイリースポーツ・開出牧)