8年ぶりにデビスカップ出場の錦織圭が見せた、魂のリターン
思いが伝わってきた。東京五輪以来となる国内試合でプレーを披露した元世界ランク4位の男子テニス・錦織圭(34)=ユニクロ=だ。
14日、有明コロシアムで開催された男子テニス国別対抗戦デビス杯ワールドグループ1部対コロンビア第1日第2試合のシングルスに出場。ニコラス・メヒア(24)を相手に、貫禄のストレート勝ち。チケット完売の満員の会場を大いに盛り上げた。
コートサイドのフォトエリアで撮影した私は、錦織の気迫あふれるプレーに引き込まれた。メヒアの強烈なサーブを必死にリターンする姿は、打球に飛びつくベテラン投手のように見えた。
今大会に出場するにあたって、若い選手に経験させるべきではないかという思いと、日本の力になれるのなら出たいという思いが綱引きしていたようだ。大会前に複雑な心境を吐露している。
一時は世界ランク4位まで上り詰め、代名詞のエアケイで多くのファンを魅了したテニス界のスター。2021年からケガに泣き、長期間ツアーを離れており、引退が脳裏をよぎったこともあったという。度重なるケガを乗り越えて今年はパリ五輪に出場したが、結果は出せなかった。
添田豪監督の起用に応えての出場。どんなプレーを見せてくれるのか、私も感情移入していた。開会式で名前がコールされると、スタンドからはひときわ大きな歓声と拍手が響き渡った。どの世界でも、一時代を築いたベテラン選手の活躍は、多くのファンに勇気や希望を与える。エアケイのような派手なプレーはなかったが、一つ一つのプレーに、魂が入っていた。試合後に添田豪監督とがっちりタッチを交わす姿や、観客の拍手にサムアップポーズで応える姿を撮影しながら、完全復活を願った。(デイリースポーツ・開出牧)