女子ゴルフ 河本結が“姉さんキャディー”で奮闘 衣装も黒子に徹して弟・力をサポート「ナイスキャディー」の声も
冬のグリーンを温めるような光景だった。弟の河本力のキャディーを務めた女子プロゴルファーの河本結(26)だ。
1日に東京よみうりCCで行われたゴルフ日本シリーズJTカップ最終日の18番、ボギーパットを沈めた弟の河本力を、包み込むような優しい笑顔で握手を交わしたキャディーの河本結。ファインダー越しに心がホカホカするような光景だった。
単独10位という結果だったが、ギャラリーからの声援は誰にも負けなかった。ラウンド中に「結ちゃん、ナイスリード! ナイスキャディー」という声援を何度も聞いた。その声に手を上げて応える“姉さんキャディー”は、隠しきれないプロゴルファーのオーラを放っていた。
今回の“姉弟タッグ”は、姉が弟に提案したという。女子ゴルフ最終戦のリコーカップの日程が一足早かったため実現できた。私は女子ゴルフを取材することが多く、河本結の活躍と人気は目の当たりにしており、レンズを向けると笑顔で手を振ってくれるゴルファーの一人だ。
その河本結が弟のキャディーを務めるというので大会初日から注目していた。黒で統一したシャツとパンツ。黒子に徹した目立たない服装でキャディーのビブスを着てゴルフバッグを運び、クラブを渡して一緒にラインを読む。弟を支えたいという気持ちが伝わってきて、素直に応援したい、という気持ちにさせられた。
3日目にスコア伸ばし一時は上位に食い込んだが、17番でOB、18番でダブルボギーをたたいた。2人の表情を追いながら、いつの間にかファン目線のような親目線のような、なんとも言えない気持ちになった。
そして最終日。ギャラリーの声援に背に、やさしい秋の日差しに包まれながらラウンド。残念ながら優勝争いとはいかなかったが、私はどうしても最終ホールを見届けたくて18番グリーンで待った。名前をコールされ帽子を取ってギャラリーの拍手に応える弟の河本力の後方からゴルフバッグを押して上がってくる“姉さんキャディー”は、どこか誇らしげな笑みを浮かべていた。4日間、弟と力を合わせて精いっぱいやりきったのだろう。ホールアウトして握手を交わす姿が、ほほえましかった。飛ばし屋、河本力のパワフルなゴルフと河本結の愛情たっぷりのキャディーぶり。男子ゴルフと女子ゴルフの魅力を足して2をかけたような、心温まるゴルフ。是非、来年も優勝目指して、“姉さんキャディー”として参戦してほしい。(デイリースポーツ・開出牧)