つらい花粉症…飲み薬だけでなく治療法はさまざま まずは相談を

 「町医者の独り言・第28回」

 「ハクショーン!」。きょうも、くしゃみと鼻水で目が覚めました。花粉症の季節ですね。私も毎年この季節に悩まされます。スギ、ひのきの花粉が多く飛散しており、マスクや特殊な眼鏡をしても症状の緩和はなかなか難しいです。

 私はアレルギー体質で、学童期は本当によく鼻を垂らしていました。小学生の頃は、服の袖が鼻水でズルズルになっている子や、いつも鼻を垂らしている子をたくさん見かけましたが、最近は薬のおかげかどうなのか分かりませんが、そういった子どもさんをあまり見かけなくなった気がします。

 その頃は「花粉症」といった言葉はあまり一般的ではなかったように思います。舗装されていない道路もまだ随所にあり、マンションやビルも多くなかったということも一つの要因でしょうし、花粉が今ほど飛散する環境ではなかったのでしょう。花粉症は、年中通して認められるアレルギー性鼻炎とは違い、好発年齢が遅いとも言われています。ですから、突然、花粉症になってしまう可能性もあるわけです。

 医療が発達した現代では、様々な薬があって花粉症による生活の質の低下を防いでくれています。鼻がつまると口呼吸になり喉が痛くなったり、頭痛が出現したりします。そういった症状のため仕事や勉強などに集中できなくなるので、ただの花粉症と放置するのは感心できません。

 また、意外に知られていないのが、後鼻漏(こうびろう)という症状です。鼻水が鼻から垂れずに、喉のほうに流れていき、知らぬ間に誤嚥(ごえん)してしまい、咳が止まらないなどの症状があります。診察室に入った患者さん自身が鼻水をすすりながら私と話をしているのに、鼻水は一切出ないと言われることが多く、鼻水をすすりながらお話をされていますよと説明をすると納得して頂き、お薬を飲むことについて了承を得ます。薬を飲み始めると劇的に咳(せき)が改善することが多いです。

 また、花粉症を持っておられる患者さんで気を付けないといけないのは、風邪の初期症状と花粉症は症状の区別がつかないことが多いことです。少し前には、発熱症状が乏しいインフルエンザや、喉の痛みだけで発熱しない溶血性連鎖球菌の感染症などが流行っていました。花粉症の薬のみ内服して様子をみていると重症化することがありますので要注意です。

 飲み薬以外では、アレルギーのもとになるとスギの成分を少量ずつ体内に投与するなどの免疫療法が有名です。以前は注射で体内に投与していましたが、最近は舌の下に薬を投与する方法で注射と同等の効果が得られることが分かってきました。学童期のお子さんへの投与が容易になり、生活の質を向上が見込まれます。ほかにも、手術療法など様々な治療法がありますので、花粉症でお悩みの方はまず医療機関で相談することをお勧めします。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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