【谷光利昭医師】漢方薬は効きます 西洋医学などの足りないところを補える
【Q】友人から漢方薬は効かない、即効性がないと聞きました。実際はどうなのでしょうか?(30代女性)
【A】結論から言いますと、ケースバイケースではありますが、漢方薬はよく効きます。また、即効性がないからもっと劇的に効く薬をちょうだい!などとよく言われますが、即効性があるものもありますし、劇的に効くものもあります。西洋の薬、東洋の薬、西洋医学、東洋医学、すべて取り入れて足らない部分を補っていくという考え方が良いと思います。
私はよく漢方を用いて治療を行います。西洋医学だけでは手をこまねいてどうしようもない症例でも漢方を少し知っているだけで、患者さんが楽になるケースがたくさんあります。
有名なところでは、梅核気(ばいかくき)です。梅干しの種が喉に詰まったような感覚のために、このような病名が付いています。若い女性に多いと言われていて、ストレスを抱えている若者に多くみられます。喉にいつも何かが詰まっている感じがある、喉の表と裏がへばりついている感じがする、飴(あめ)ちゃんが詰まっている感じ…などの症状を訴える患者さんがいます。そういう人にある漢方薬を処方するとウソのように症状が消失することが多くあります。
私も国家試験の前と栃木県に転勤になったときに同様の症状があり、学生時代には先輩に相談して、頸部エコー、CTまで施行してもらいました。栃木にいたころには、上部消化管内視鏡でしっかりと診てもらいました。幸いにも自然に症状は消えましたが、取れなかった場合、漢方を知らなければ軽い安定剤の内服までしていたかもしれません。
町医者をしていると、他にも漢方でなければ、治療は困難であろうという症例に多く接します。足の攣(つ)り、こむら返り、しゃっくり、認知症、胃腸風邪、痔核、神経痛などは、よく遭遇する疾患です。漢方は「同病異治」「異病同治」といって同じ病名でも、患者さんの状態により投薬内容が変わることがあるので漢方薬の具体名は敢えて、ここでは伏せています。
漢方を処方された場合、それなりの意味があると受け取っていただければいいと思います。良薬口に苦しです。ちょっと飲みにくくても、頑張って飲んでくださいね。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。