【荒木正医師】血糖値を下げる運動療法は楽しみながら継続を
【Q】健康診断で血糖値とLDL(悪玉)コレステロール値が高いと指摘されました。生活習慣を是正するため、まずは運動をするように言われましたが、具体的にどのようにすればいいのでしょうか?(40代男性)
【A】糖尿病や高コレステロール血症などの生活習慣病に対する運動療法は、食事療法、薬物療法と並んで大変有効な治療法です。血糖値やLDL(悪玉)コレステロール値が下がるだけでなく、心臓病や脳卒中、骨粗鬆症や認知症の予防といった点でも効果があることが報告されています。
今回は運動療法について種類、強さ、時間、頻度、実施時間帯に分けて説明したいと思います。まず、運動の種類は有酸素運動が良いとされています。具体的にはウオーキング、ジョギング、サイクリングなどの比較的簡単に、ひとりででき、かつ安全な運動を選んで下さい。膝や腰が悪い方は負担の少ない水中歩行が有効です。
次に運動の強さですが、歩く速さにすると「1分間に80メートル(およそ時速5キロ)」程度が理想です。「少し息が弾む」くらいの強さでリズミカルに行って下さい。運動の持続時間ですが、貯蔵燃料の脂肪が分解されエネルギーとして利用されるようになるために、少なくとも15分は続けることが必要です。さらに、肥満気味な方は、30~40分の運動を続けた方がよいでしょう。
運動の頻度は毎日が望ましいですが、最低でも週3日は行いましょう。真夏や真冬で週3回が難しい時期は、運動しやすい日を探し1日に早朝と夕方など2回に分けて運動するのもいいでしょう。最後に実施時間帯ですが、食べた物が消化吸収され、血糖値が高くなり始める食後1時間くらいが望ましいです。
まとめると運動療法は有酸素運動を「少し息が弾む」程度の強さでリズミカルに、1回15分以上、週3日以上、食後1時間頃に行うのが理想的です。そして最も重要なことは継続です。長続きできるように楽しみながら継続できるように工夫してみて下さい。
◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。