【櫻井直樹医師】慢性蕁麻疹 治療の自己中断は避けてほしい

 【Q】1カ月前から急に虫刺されのようなかゆい発疹が出ては数時間で消え、また別の場所に出る、ということを繰り返しています。皮膚科で慢性蕁麻疹(じんましん)と言われ内服薬を処方されました。内服していれば症状は出ませんが、内服し忘れるとまた症状が出ます。いつまで治療すればいいのでしょうか?(30代女性)

 【A】お困りの症状はまさに慢性蕁麻疹の典型です。そもそも蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり、強い痒みを伴い、しばらくすると跡形なく消えてしまう病気です。

 通常、個々の皮疹は数十分から数時間以内に消えるのが普通ですが、中には半日から1日くらいまで続くものもあります。重症例では呼吸困難・血圧低下などのアナフィラキシー症状がみられることもあります。数日から2週間程度で治癒する急性蕁麻疹、1か月以上(欧米では6週間以上)出没を繰り返す慢性蕁麻疹があります。

 一般に慢性蕁麻疹と言われるものは原因不明(特発性)のものを指し、実際に血液検査をしても95%以上で特記すべき異常所見は指摘できません。(まれに甲状腺機能異常や膠原病、C型肝炎、ピロリ菌感染等の合併が見つかります)

 特発性の慢性蕁麻疹の治療は、基本的には対症療法となります。抗ヒスタミン薬、H2ブロッカー、ロイコトリエン受容体拮抗薬、難治例ではさらに、DDS、レセルピン、ステロイド、シクロスポリンなどの内服薬や、つい最近、保険適応追加となったオマリズマブ皮下注射などを適宜組み合わせながら治療します。これらの治療により症状のコントロールがついてから2カ月間程度は治療を継続し、それから徐々に薬を減量しながら再燃がないことを確認して服薬を中止します。

 実際には減量中に症状が再燃し治療を継続することも多く、3割の患者が1年後に、5割の患者は3年後に治癒することが多い、とされています。そのため、治療を自己中断せずに定期的に通院する必要があります。

 ◆櫻井直樹(さくらい・なおき)02年、東大医学部卒。東大付属病院、関連病院に勤務後、美容外科クリニック勤務を経て千葉県松戸市にシャルムクリニック開設、他院皮膚科顧問も歴任。皮膚科専門医、レーザー専門医。

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