【櫻井直樹医師】イボの治療は根気強く 選択肢は多数あり

 【Q】足の裏に硬いできものができて、ウオノメかと思い皮膚科を受診したら、イボと言われ液体窒素治療をされました。何回くらい通えばいいのでしょうか?(50代男性)

 【A】イボは、「尋常性疣贅(ゆうぜい)」という、ヒトパピローマウイルスによる感染症です。このウイルス自体は環境中に存在していて、微小な傷から皮膚の基底細胞に感染すると考えられており、実際、手足やカミソリ負けなどの部位によく見られます。

 自然に消退してしまうこともありますが、他の部位に感染し多発していくことが多い、顔や手では整容面で問題となることが多い、足底では歩行に差し支えることがある、などの理由から、ほとんどのケースで治療を行います。

 それでは治療法はどのようにするか。基本的には液体窒素療法が本邦では第一選択とされています。スプレーないしは綿棒を用いてマイナス196度の液体窒素によりイボを冷凍凝固させる、という簡便な方法ですが、強い疼痛(とうつう)を伴い、1回で治癒することは滅多になく多数の治療が必要です。実際、1年以上治療しているが治りきらないケースも多く経験します。

 そのため、さまざまな治療も考案されており、50%サリチル酸ワセリン軟膏外用(海外では第一選択ですが、国内未承認)、活性型ビタミンD3軟膏外用、グルタールアルデヒド外用、モノクロロ酢酸外用、ブレオマイシン局所注射、炭酸ガスレーザー照射、色素レーザー照射、ヨクイニン内服、シメチジン内服、エトレチナート内服、局所免疫療法、手術など選択肢は多数ありますが、いずれも、確実に治る、という治療ではなく、実際のところ適宜組み合わせて行うことが多いです。

 エキスパートオピニオンでは、3カ月ごとに治療の見直しを行うとありますが、以上の理由で難治例においてはコンビネーション治療を行っても長期間を要することがほとんどです。一方で不思議なことに、多発例がある時一斉に消えてしまうこともあります。根気強く治療することが必要です。

 ◆櫻井直樹(さくらい・なおき)02年、東大医学部卒。東大付属病院、関連病院に勤務後、美容外科クリニック勤務を経て千葉県松戸市にシャルムクリニック開設、他院皮膚科顧問も歴任。皮膚科専門医、レーザー専門医。

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