【谷光利昭医師】怖い糖尿病 清涼飲料水の飲み過ぎに注意を
【Q】暴飲暴食をすると糖尿病になりますか?(30代男性)、糖尿病とはどんな病気なのでしょうか?(20代女性)
【A】簡単に説明しますと、体の中のブドウ糖をうまく利用できないために、体中に糖が、あふれている状態なのです。そのことによって血管や神経が損傷され、様々な合併症を引き起こします。脳梗塞、心筋梗塞、失明、慢性腎不全からの透析、神経障害からの四肢切断などの怖い合併症があります。
糖尿病は、大きく分けると2つに分類されます。1型糖尿病と2型糖尿病です。1型糖尿病とは、体内で糖を利用するために必要なインスリンが生成される膵(すい)臓のβ細胞が何らかの原因で破壊される怖い病気です。小児から思春期に発症することが多いのですが、中高年にも発症することがあります。日本での割合は5%以内と珍しいタイプなのです。小児、思春期の発症の場合は意識障害などの重篤な状態で発見されることも少なくなく、注意を要します。
残りの95%の糖尿病が2型糖尿病です。過食、運動不足、ストレス、加齢などの環境因子が原因で発症します。暴飲、暴食は糖尿病の原因になります。遺伝的要因も強く、血縁関係の人に糖尿病の患者さんがいらっしゃれば要注意です。
また、日本人は欧米人と比べると先ほどのインスリン分泌能力が低いために、欧米人と比較すると糖尿病になりやすいとされています。似たような体形をしていても、同じような食事をしていても、日本人の方が糖尿病になりやすいのです。
また、最近は清涼飲料水の飲み過ぎによる糖尿病も増えています。この前、脂質異常症で通院されていた患者さんが突然、糖尿病を発症されました。暴飲暴食はしていないとの、お話しでしたが、勤務の最中にコーラをペットボトルで飲み干していたとのお話でした。
その日からコーラの“がぶ飲み”を中止して、糖尿病の治療を施行し、現在は事なきを得ております。同様のことは、子供さんにも起こってしまうケースがあります。これから本格的な夏が到来しますが、清涼飲料水の飲み過ぎには注意をして頂きたいものです。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。