【中塚美智子医師】娘から「口が臭い」と言われ…原因と対処法は
【Q】娘から「口が臭い」と言われ、避けられています。(40代男性)
【A】お嬢さんから「口が臭い」と言われたとのこと、お辛いですね。ある芸能人もお嬢さんから「ゴミ食べた?」と言われたとか。臭いの原因は何でしょうか。
歯周病などで歯茎から膿が出ていると強烈な臭いがします。また歯周病の原因菌が産生したガス=揮発性硫黄化合物(VSC)=も原因になります。歯と歯茎の間にできる歯周ポケットには、酸素を必要としなくても生きられる細菌が存在します。細菌は周囲のタンパクを分解しますが、その際、硫化水素(腐卵臭)、メチルメルカプタンやジメチルサルファイド(生ゴミ臭)といったVSCを産生するのです。
虫歯、歯垢、歯石、舌苔(ぜったい)なども細菌の巣窟(そうくつ)で、口臭の原因になり得ます。合っていない歯の詰め物や入れ歯の隙間、痛みがある部分も不潔になりやすいので注意が必要ですね。丁寧に歯を磨き、常に口の中を清潔にしたいものです。
ところで私たちの口の中には数百億から数千億個の細菌が存在すると言われていますが、通常は唾液によって洗い流されるので一定数を保っています。しかし、就寝時や緊張時には唾液の分泌量が減って細菌が口の中に定着しやすくなるため、産生するガスの量も増えます。
またアルコールやカフェインの過剰摂取は利尿作用があるため脱水症状を引き起こし、唾液分泌量が減るため口臭が発生しやすくなります。さらに薬の副作用、加齢、ホルモンバランスの乱れでも唾液分泌量の低下を招くことがあります。
全身でみると蓄のう症やのどの炎症、糖尿病、胃腸の病気、腎臓の病気、がん、またニンニクなど臭いが強い食べ物の摂取も口臭につながる場合があります。
口臭の原因はさまざまで、対処も異なります。口臭治療を行っている歯科医院では医師が口の中の状態を診たり、口臭測定を行ったりします。口の中以外に原因がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。
◆中塚美智子(なかつか・みちこ)大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。