【Ｑ】インフルエンザワクチン接種後や、かぜの時にお風呂に入っていいのでしょうか？いろんなことを言う人がいて迷います。（３０代女性）

　【Ａ】この質問は、診察室でもよく承ります。基本的に、ワクチン接種後にお風呂に入っても問題ありません。ただ、注射部位をこすったり、揉んだりすること、激しい運動をすることは禁止事項に含まれます。

　お風呂に入る時間ですが、教科書的には注射後１時間が推奨されています。接種後に部位が腫れたり、違和感が生じることがありますが、お風呂でバイ菌が入ったのではなく、アレルギー反応でそのようになることがあります。実際、私も毎年インフルエンザワクチンを接種していますが、ある年には鶏卵大くらいの発赤、腫れを認めたこともありました。多くの場合、注射部位の安静を保てば、数日で回復します。

　次に「かぜ」の場合です。基本的に構いません。私が幼稚園のころは、自宅のお風呂は寒く、脱衣場など特別な場がなく、風呂上がりなどで、寒くてストーブの前に近寄り過ぎて、よくお尻に火傷（やけど）をしていました。今は住宅事情が改善されており、特にマンションなどは気密性が高く、風呂場、脱衣場はそれほど寒くありません。

　冷暖房などが設置されていればなおさらです。注意すべきは、寒い一軒家、風呂が外にある家や銭湯などです。そういった場合、入浴は控えて下さい。湯冷めして、かぜが悪化してしまう可能性が高いんです。

　要するに湯冷めすることがなければ、お風呂に入ってもいいということです。あと重要なことは、お風呂に入って速やかに着替えて髪の毛を乾かし、就寝することです。いくら温かい部屋でも、風呂から上がって長時間、居間でテレビを見たり、読書したりすると湯冷めします。

　もちろん、高熱で体力が消耗しているときや、インフルエンザなどの重症の感染症の時の話は別です。いくら温度管理をしていても、入浴自体で体力を消耗することがありますので、お風呂はやめるようにアドバイスしています。

　◆谷光利昭（たにみつ・としあき）兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツＨＰで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。