【櫻井直樹医師】尋常性白斑の治療法とは
【Q】数カ月前から顔や手背に白抜けが出現しました。皮膚科で尋常性白斑と言われ、ステロイド外用薬を処方されましたがよくなりません。他に治療法はないのでしょうか?(40代男性)
【A】尋常性白斑は原因不明の後天性の脱色素斑です。メラニンを作っているメラノサイトが消失することにより発症します。本症は、全身に多発する汎発型、神経分節に沿う分節型、汎発型か分節型の前段階である限局型に分類されます。
汎発型では自己免疫機序が原因として考えられます。尋常性白斑は生命には全く影響しませんが、整容面で非常に問題となることが多く、QOL(生活の質)を大きく低下させる疾患です。
当院でも小児から高齢者まで多くの方が受診されています。カネボウのロドデノールによる薬剤性脱色素斑は当初尋常性白斑と混同されていたことが記憶に新しく、また、尋常性白斑に移行したケースもあります。
治療法は、ステロイド外用薬・タクロリムス外用薬・活性型ビタミンD3外用薬などの外用療法をベースとし、汎発型では第一選択として光線療法を行います。分節型でも光線療法は有効です。効果不十分な場合は植皮療法も検討します。一般的に言って、治療は難しい疾患です。
ご相談の症状は、汎発型尋常性白斑ですから、光線療法を行うべきでしょう。光線療法とは、ナローバンドUVBやエキシマライトなど紫外線を患部に照射する方法です。週2回程度通院し、計50回程度の照射で効果判定を行います。頭頸部は色素の再生は比較的良好ですが、手指など末端部は治療に反応しづらい部位です。
また、色素の再生は白斑部全体に起こるのではなく、周辺から少しずつ再生するパターンと、毛穴から徐々に再生するパターンとがあり、ぶち状・まだら状に再生してくるため、色素が再生したからと言って整容的に満足に至らないケースも多いのが、光線療法の問題点です。
生物学的製剤やホルモン製剤外用薬なども研究中のようですので、今後治療法の選択肢が増えてくることを期待しています。
◆櫻井直樹(さくらい・なおき)02年、東大医学部卒。東大付属病院、関連病院に勤務後、美容外科クリニック勤務を経て千葉県松戸市にシャルムクリニック開設、他院皮膚科顧問も歴任。皮膚科専門医、レーザー専門医。