【松本浩彦医師】インフルエンザB型はちょっと厄介なんです

 B型インフルエンザは意外に厄介な症例が多く、毎年頭を悩まされます。理由は「熱があまり出ない」ことです。1月に大流行したA型(H1N1pmd2009)インフルエンザは、39度近い高熱が出て、慌てて医者に駆け込み、たいていゾフルーザを処方してもらって、すぐに元気になりました。

 そのイメージが強過ぎたためか、37度前後で、いつもと違って少し身体がだるい程度で、医者にも行かず、売薬を買ってきて飲みながら無理して仕事に行きます。それが1週間とか10日とか続いて、いよいよどうにもなくなって、初めて医者に行きます。

 もう手遅れ。気付かないうちにB型インフルエンザにかかって自然治癒、つまり自力でウイルスをやっつけたわけですから、その体力消耗の激しさたるや、元に戻るのに3週間以上かかります。特効薬がなかった20年近く前、インフルエンザは元気な身体に戻るのに1カ月かかる病気でした。特効薬ができて、数日で社会復帰できる病気に変わったのです。

 B型インフルエンザは「ねちっこい」といいますか、症状が長引く傾向があります。高熱が出ないから勝手にカゼと思い込んで自力で治そうとすると、あとで大変な「ツケ」を払う事になります。時間が経ち過ぎているので特効薬も効きません。栄養のあるものを食べてひたすら体力回復を待つだけ。熱が高くないから普通のカゼだと思いこむと、あとが大変なのです。

 これからB型インフルエンザ流行の時期がやってきます。そして今年もA型と同様、B型も「山形系」と「ビクトリア系」の2種類が流行る(はやる)と予想されています。B型もひと冬に2回かかることがありますので、ご注意を。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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