【谷光利昭医師】花粉症の合併症は要注意 口腔アレルギー症候群で重篤な症状も
ハクショーン!!今日も、くしゃみと鼻水で目が覚めました。花粉症の季節ですね。私も毎年悩まされます。特に起床後は涙と鼻水がひどく、症状が落ち着くまではしばらく時間がかかります。
さらに寒気、頭痛、倦怠感、咳嗽(がいそう)などの感冒症状と類似した症状が出ることもあり、よく「1カ月も風邪が治らない」と言って来院される患者さんもおられます。花粉以外でも、寒暖差など温度の刺激によって同様の症状が出ることもあり、マスク、ゴーグルの着用などで予防することは肝要です。
症状が改善しなければ、投薬治療を受けることがお勧めです。薬を飲むと眠気が来るからと、内服を嫌がる患者さんがおられますが、最近は眠気が出にくい薬や漢方なども効果的なケースがあります。まずは相談することをお勧めします。
花粉症などに合併する病変として、最近は口腔アレルギー症候群という病態が知られるようになりました。簡単に説明をすると、体の中に異物が侵入すると免疫反応の一つとして抗体がつくられます。特定の異物をやっつけるために作られたはずなのですが、間違って違う物にも反応を起こしアレルギー反応が起きるんです。
たとえば、スギへの抗体だったはずなのに、その抗体が別の物に反応します。別の物とは、人により違いますが、野菜、果物など身近な食べ物であることが多いです。それらを食べたときに唇が腫れたり、口の中の粘膜が腫れたり、違和感が出現してきます。
多くの場合、抗原となる蛋白(たんぱく)は、唾液、体温によって分解されるために口の中だけで症状が治まりますが、豆乳など大量の蛋白が分解されずに体内に入れば、腹痛、下痢でだけでなく、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状が出現することがあり要注意です。
原因となるものを食べないことが大切ですが、熱処理をすれば食べられる場合もあります。心あたりのある方は病院で聞いてみてください。
◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。