【松本浩彦医師】白血球にも血液型があるんです ドナー募るのは種類が足りてないから
前回は赤血球の血液型についてご紹介しましたが、白血球にも血液型があります。「HLA抗原」とかヒト主要組織抗原と呼ばれています。HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球型抗原)は、発見当初は白血球特有の抗原と思われていましたが、後に身体中の組織で発見され、「主要組織適合抗原」と呼ばれるようになっています。
「A」「B」「C」「Dp」「Dq」「Dr」の6つの座があり、それぞれが独立しているため、HLA抗原の型すなわち白血球の血液型は「6の6乗」つまり、4万6656通りとなりますが、A、B、Drはさらに細かい亜型が存在するため、実際は何十万通りもあるとされています。
HLA抗原は1954年に発見され、それぞれの型はHLA遺伝子によって生まれた時から決まっています。半分を父親から、半分を母親から1個ずつ受け継いで、その子供の身体では父親と母親から受け継がれた2つ一組でペアを作って、子のHLA遺伝子が決まります。
骨髄バンクとか臍帯血(さいたいけつ)バンクのテレビCMが流れていますね。みなさん、ドナーになってくださいという呼びかけです。白血病の治療に有効な骨髄移植や臍帯血移植、肝臓や腎臓など臓器移植においても、HLA抗原の型が合っていないと拒絶反応が起こってしまいます。
ざっくり言うと、6つのうち4つが適合していることが条件になりますが、実際には数十万分の1の確率でしか一致しません。何十万通りあるタイプから、その患者さんに適合するHLAを持つドナーを探さねばなりません。CMで盛んにドナーを募っているのは、量が足りないのではなく、まだまだ種類が足りてないということなのです。
◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。