【窪谷日奈子医師】年を取ると目がどんよりする? 紫外線対策をお忘れなく
年を取ると目がどんよりしてくる…そんなイメージはありませんか?医学的に説明するとしたら、結膜(白目)が茶色く濁ることが原因だと思います。子供の結膜は青白く見えるほど透明感がありますが、年齢とともに色素沈着を起こし濁ってきます。
結膜が茶色くなるのは、古くなった食べ物が茶色くなるのと同じ原理です。傷んだ肉が変色したり、火を通すと茶色く変化することは誰もがご存じかと思います。食べ物が茶色くなるのは、たんぱく質と糖が反応し糖化することが原因です。糖化で生成された成分が組織にたまると、茶色い沈着物になるのです。
特に上まぶたと下まぶたの間の結膜を瞼裂(けんれつ)と呼んでいますが、ここは年齢の変化で盛り上がったり沈着物がたまりやすい部分です。糖化による沈着物が肉眼で見える場所なので、瞼裂は言ってみれば1番年齢が出やすい場所というわけです。
結膜が茶色く濁るとどんよりしたイメージになるので、できれば老化を防ぎたいところです。紫外線や異物(粉じんなど)で起こりやすいと言われているため、防御することが何よりも大切です。紫外線カットの眼鏡にしたり、異物が入る作業をするときはゴーグルをおすすめします。
ちなみに結膜の盛り上がりは、基本的に角膜(黒目)に入ることはないと言われていますが、強く増殖してくる翼状片(よくじょうへん)という病気もあります。目立つ場合は自己判断せず、眼科で診察を受けることをお勧めします。翼状片は放置すると視力に影響するため、手術で切除する必要があります。
年齢が出やすい結膜を健康に保つため、これからの季節は紫外線対策をお忘れなく。どんよりした目でなく健やかな目を目指しましょう!
◆窪谷日奈子(くぼたに・ひなこ)医療法人社団吉徳会・あさぎり病院・眼科医長。眼科専門医。