コロナ5類でも油断するのは大間違い WHOの本音は「希望は持ってイイけど、警戒は怠るな」

 コロナ禍が始まって3年あまり経過し、ついにWHOの「緊急事態宣言」が解除されました。日本ではちょうど5類への移行と重なり「もう大丈夫」という希望を持った人も多いと思います。

 たしかに、感染機序・予防法・治療法が、完全とは言えないまでも、ある程度確立され、コロナウイルス自体も、感染力は以前より高くなったものの、致死率は0・1%と、格段に減少しました。コロナを「脅威」として対応するより、世界は「ウィズ・コロナ」を選択した、という理解でいいと思います。

 しかし「コロナはもう怖い感染症ではない」と考えるのは大きな間違いです。WHOは緊急事態宣言の解除にあたって「……しかし、警戒を解き、構築したシステムを解いて、国民にCOVID-19は心配ないというメッセージを送ってはいけない」と付け加えています。「希望は持ってイイけど、警戒は怠るな」というのがWHOの本音です。

 感染したら本人だけでなく周囲も巻き込んで大騒動になる、という警戒感は、確かに以前に比べてほとんど必要なくなりました。しかし、5類に移行した後も、うちのような町医者には、まだ実際にコロナの患者さんが何人も来ています。「感染対策を全て取っ払って良い」という時代が戻ってきたわけではないのです。

 終わりと思っていたら、またオミクロンの次の新しい変異株が出現して、第9波がやってくることがあるかもしれません。専門家の先生方はその懸念を捨てていません。感染対策を一気にゼロにしてもいいですよ、ということではないのです。私ども医療機関では、これまでの厳重な感染対策を一気に取っ払うわけにいきません。これから少しずつ間引きしていくのは一苦労です。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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