大腸がんは早期発見がカギ 下剤の服用、羞恥心…敬遠するのは避けてほしい 医師が語る

 最新のがん統計(国立がんセンター)によると、日本人のがん罹患数、すなわちかかりやすいがんの1位は男性は前立腺がん、女性は乳がんで、2位は男女ともに大腸がんでした。当院は消化器・呼吸器専門クリニックですので前立腺がんや乳がんは専門外ですが、大腸がんは常に念頭に置いて早期発見につとめるべき疾患だと考えています。

 一番簡単な大腸がんスクリーニングとしては便潜血検査(検便)です。便に血が混ざっているかどうかを判断する検査で、大腸がんやポリープ、痔、大腸炎などの出血をきたす病変があると陽性になります。大抵の場合は痔が原因ですが、時に大腸がんや大腸ポリープが見つかります。

 大腸がんを早期に見つければかなりの確率で治すことができます。大腸ポリープは胃ポリープと違ってがん化する可能性があるため、見つけたらすぐその場で切除します。要するにがんの芽を摘んだことになるのです。

 このように大腸カメラは大腸がんを診断したり、ポリープ切除による大腸がん予防ができる非常に有用な検査なのですが、胃カメラに比べて準備が大変です。便を全て排出しなければ観察できないため、検査前に約2リットルの下剤の服用が必要です。またお尻からカメラを挿入される羞恥心もあり、胃カメラに比べて敬遠されがちです。

 しかし、これだけ大腸がんが身近になってくると敬遠してる場合ではありません。特に便潜血が陽性となった中高年の方は必ず大腸カメラを受けましょう。当院も9月から大腸カメラを始めましたが、さっそく早期大腸がんが見つかり患者さんに大変感謝されました。大腸がんを早期に発見すると、 お腹を切る手術をしなくても大腸カメラだけで治療が完結するのです。

 ◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。

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