麻疹が流行 感染力はインフルの10倍!2歳以上の抗体陽性率は?ワクチンの接種は?医師が解説
3月に大阪で麻疹(はしか)感染者が確認され、問い合わせが増えています。麻疹とは、風邪症状のあとに全身の皮疹が出る病気です。約10日の潜伏期間の後、2~3日38度前後の発熱と風邪症状、充血などの眼症状を呈した後にいったん解熱、その後39度の発熱があり、皮疹が顔面から始まって体幹、下半身に広がります。
1000人に1人が死亡、感染から5年から10年後に1万人に1人が重篤な脳炎を起こす疾患です。感染力は強力で、感染者と同じ空間にいた人が免疫がない場合は10人中9人が感染、1人が感染すると周囲の12人~18人が感染すると言われています。
結核菌や水ぼうそうと同様、空気感染するのでうがい手洗いは無効で、治療法は無いのでワクチン接種が唯一の対処方法です。ワクチンを2回打つと感染を97%防ぐことができ、1回感染すると2回目に感染することはほぼありません。日本では2007~8年に流行しましたが、ワクチン接種の普及で2010年11月以降は、日本由来のウイルスは検出されておらず、今回も海外由来のウイルスです。
ワクチンを打ったほうが良いかよく聞かれるのですが、まず大前提として、2歳以上のすべての世代で95%の人は抗体陽性なので、感染する可能性がないということです。誕生日が1972年10月1日~2000年4月1日までで麻疹(はしか)にかかっていない方は、行政の指導通りワクチン接種をしていても免疫が不十分な可能性がありますので、内科や小児科にご相談ください。1972年9月30日以前に生まれた方はワクチンをほぼ打ってないですが、おそらくほぼ全員がかかっていると思われますので過度の心配は無用です。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。