注目の糖尿病治療薬・SGLT2阻害薬、ダイエット目的での使用はリスク大
最近、友人から糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬のアンチエイジングやダイエット目的使用について問い合わせを受けることが増えています。SGLT2阻害薬は主に糖尿病治療薬として使用されますが、その健康効果が多岐にわたるため注目されています。この薬は腎臓での糖分再吸収を阻害し、尿中への糖分排泄を促進することで血糖値を下げます。この作用により、糖尿病治療効果のみならず、体重減少、血圧低下、心血管病リスクの低減など、複数の健康効果が証明されています。
SGLT2阻害薬の体重減少効果は脂肪の減少と関連しており、肥満は老化のリスクファクターであるため、体重減少は健康寿命の延伸に寄与します。また、心血管系への効果も注目されており、心不全患者の入院リスクや心血管疾患による死亡リスクを減少させることが示されています。さらに、最近老化細胞除去作用が報告され、認知症予防、治療への応用も期待されています。
私自身も糖尿病になった場合にはこの薬を使用したいと考えますが、糖尿病でなければまずはバランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠といった基本的な生活習慣の改善を優先すべきです。特に健康な若い女性がダイエット目的で使用することには大きなリスクがあります。低血糖、脱水症状、尿路感染症、腎機能障害などの副作用が生じる可能性があり、健康な人に対する長期的な影響については十分に研究されていません。
SGLT2阻害薬のような薬物療法は、十分に経験のある医師の指導の下で使用することで最適な効果を得られ、副作用のリスクを最小限に抑えられます。安易な使用は健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、専門家のアドバイスを必ず仰ぐようにしましょう。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。