名球会投手の夢は“北別府米”の完成 SNS駆使し野菜作りの面白さ発信

 女子大生の熱い視線を浴びながら、教壇に立った。テーマはSNSを使ってファンへの情報発信だ。女子大生にも興味深い話である。広島一筋で球団史上最多の通算213勝を挙げ5度の優勝に貢献、2012年に野球殿堂入りを果たした北別府学氏(60)は、広島市内の安田女子大学で非常勤講師を務めた。

 地元FM局のラジオ番組に出演していたことがきっかけで、何度か講義を開いている。「ラジオでしゃべっている調子で生徒に話しかける。質問を受けたりカープの状態とかを話題に採り入れている」と説明した。

 11年に公式ブログを開設。13年にはツイッターとフェイスブックもオープンさせた。「ユニホームを脱いでだんだん名前を忘れられていく。忘れられた名前を発信することによってみなさんに知ってもらうためにはじめた」とSNS利用の理由を説明。地元局・広島ホームテレビの野球解説者として確固たる地位を築きながらもアピールを忘れない。「ファンの優勝させないといけないという機運にうまくブログと思いがつながった」と開設して以降、広島の躍進が重なり、人気のSNSとなっていった。

 SNSにも度々登場する野菜ネタは、趣味の域を超えている。自宅横にある畑にはトマト、キュウリ、ナス、ピーマン、ネギと野菜類を植え、周囲にはカキ、ミカン、ビワ、レモンの木もある。「買えばあるんだろうけど、作るまでの苦労を知ることによって収穫する喜び、愛情が出てくる」と楽しみを語った。

 野菜作りに魅了される北別府氏に周囲は黙っていなかった。15年春から広島・安芸太田町の「筒賀ふれあい農園ありんこ」で「北別府ファームプロジェクト」が展開され、数々の野菜が作られている。北別府氏の野球教室ではスイカなどがふるまわれ、野球と野菜作りのおもしろさを教えている。

 3連覇を狙う広島を追う野球解説者でありながら、最先端のITを駆使して情報発信、農業にたずさわる名球会投手。今後について「協力者がいれば、米作りをしてみたい」と“北別府米”完成の夢を語った。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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