春夏連覇のPL学園主軸は今…忘れられない桑田のフルーチェと清原のプレゼント弾
甲子園歴代最強チームとして必ず上位にランクされるのが87年春夏連覇のPL学園。のちにプロ入りする立浪、片岡、橋本、野村、宮本らとともに、その輪の中心にいたのが深瀬猛さん(49)だ。専大-JR東日本、その後母校PL学園のコーチなどを経て現在は社会人軟式野球の強豪「佐川印刷」の監督。その一方で人材コンサルティング会社「ジョブ・スター」の代表取締役として創作ふぐ料理「あじ平 曽根崎」を取り仕切っている。
とにかく熱い。何事にも真剣に取り組み、好奇心が旺盛だ。結果、さまざまな顔を持つことに。現在は代表、監督以外にキムチやメロンパンを販売し、チェリーゴルフのアンバサダーも務める。
「いろんな方と出会った結果。気がつけば、こうなりました」
PL学園では濃密すぎる3年間を過ごした。あの桑田の付き人で、あの清原と同部屋。「桑田さんの好きなフルーチェを毎日作ってました」。1年秋にベンチ入りし、2年春は投手でセンバツ出場。秋から三塁手に転向し、3年時は春夏連覇に貢献した。
「実はある球団から3位指名するという話もあったんですよ」。
進学した専大では右肩の脱臼を再発。JR東日本でも満足な活躍はできなかったが、渋谷駅の助役の1人にまでなった。
転機が訪れたのは04年冬。奈良県内の高校野球部監督になることを条件に3年間コーチを務めた。結局、この話は立ち消えになったが、08年夏から15年夏までコーチとして存続に揺れる母校PL学園を支えた。
実質二刀流の現在。だが、どちらも手抜きはしない。佐川印刷は昨年日本一を決める天皇杯準優勝。監督3年目の今年は頂点しか見ていない。ふぐ料理「あじ平」も2年目の今年から通年営業とし、勝負に出る。そのため、半年以上かけ、春メニューの創作に取り組んだ。
遠征先、出張先でもとにかく街へ。「実際に見て、食べて、飲んで確かめ、いいものは取り入れる」。春限定で焼きふぐ(1500円)、ふぐユッケ(700円)、ふぐキムチ、ふぐのなめろう、ふぐ辛子マヨ和え(ともに400円)といった創作メニューがあり、斬新かつリーズナブルだ。イチ押しは、とおとうみの刺身(800円)。ふぐの皮を湯通しし、久留米・尾崎農園のニンニクみそで味わう。
「ふぐのなめろう、ふぐユッケも最高。ふぐ唐を揚げさせたらだれにも負けませんよ」
通常のコースメニューは、あじ平(上)コースが6500円、あじ平コースが5480円。単品では活てっちり(3500円)、活てっさ、活ぶつ切りてっさ(ともに1450円)となっている。
「あと日本酒にもこだわってます」と深瀬さん。山口「原田」、福岡「一の矢」、広島「酔心」などが用意されている。このサービス精神とおもいやり。もしかすると、原点はフルーチェ作りにあるのかもしれない。
最後にKKのもう1人、清原についてこんなエピソードを語ってくれた。
85年、清原が高知商・中山から放った甲子園最長不倒弾といわれる一発。「あの試合の前日、清原さんが“深瀬、お前のために打ったるわ”と言ってくれたんです」。そして生まれた左翼席への推定140メートル予告弾のことは「僕はあのとき、三塁側アルプスの人文字の中に入っていたんですが、通常の軌道ではなく、あのホームランは突き刺さったんですよ。目線が落ちなかった」と鮮明に覚えている。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)
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