「スクール☆ウォーズ」の松村雄基がシャンソン歌手に 55歳で新たな挑戦
松村雄基は高校ラグビーを描いたTBS系ドラマ「スクール☆ウォーズ」(1984年10月~85年4月放送)の大木大助役でお茶の間に強烈な印象を残した。再放送が繰り返され、認知度は世代を超える。現在は舞台俳優を軸にしつつ、歌手として昨年からシャンソンに挑戦している。
大映ドラマの独特な世界観で存在感を発揮した。松村が初登場する第7話では「東京流れ者」を歌いながらケンカをするシーンに度肝を抜かれる。当時は20~21歳。ケンカに明け暮れる“ワル”だが、根は純粋な少年を演じた。街では独特の反響があったという。
「声をかけてくるのは圧倒的にやんちゃな男子。僕になり切って『イソップ』『先生よぉ』などと登場人物を呼ぶセリフをまねて話しかけてくる。『俺とケンカしてくれ』とか、握手したら『これで立派な不良になります』とか(笑)」。近距離のヒーローだった。
共演者とは今も交流。「先生役の山下真司さんにはご自宅でワインを飲ませていただいたり、キャプテン役の宮田恭男さんは都内で実家の寿司店を継いでいて、時々顔を出します。1歳上の小沢仁志さんとは昨年、映画でご一緒し、血のつながらない親戚に会ったような感じがした」。戦友のような存在だ。「人間はやり直しがきくというメッセージが作品にある。ここまで仕事を続けられた礎を得られたのかもしれません」。原点だった。
一方、81年から続ける歌手活動ではロック調の曲を歌うことが多かったが、2年前にシャンソン歌手のソワレと出会ったことで新たな世界に目覚めた。
「歌詞を示された時、すーっと入ってくる歌が多かった。自分でしっかりシャンソンを意識して歌うようになったのは昨年からです。レパートリーの『そして今は』『ラ・ボエーム』『サンフランシスコの六枚の枯葉』の3曲には誰かに語り掛けるようなメロディーがある。そこが魅力的。少し大人の歌が分かる年齢になってきたのかもしれません」。今年で55歳になった。
来年2月3日には東京・渋谷の「サラヴァ東京」で一人芝居とシャンソンライブを開催する。書家であり、剣舞や茶道、詩吟など「和もの」に精通する才能がシャンソンでも開花しつつある。舞台俳優としても四半世紀。2019年は東京で3公演、名古屋、大阪、京都で各1か月ずつの計6公演が控える。
「80年に17歳でデビューして、2020年には40周年。早いですね。人生が熟してきた時にシャンソンと出会った。いくつになっても勉強することばかりです」。表現者として舞台に立ち続ける。(デイリースポーツ・北村泰介)
◆松村雄基(まつむら・ゆうき)1963年11月7日生まれ、東京都出身。80年にテレビ朝日系ドラマ「生徒諸君」でデビュー。84年から「不良少女とよばれて」「ポニーテールはふり向かない」「乳姉妹」「花嫁衣裳は誰が着る」など大映テレビの常連俳優として活躍した。現在、テレビ東京系の情報番組「モーニングサテライト」内のミニドラマ「突然ですがピンチです」(毎週月~金曜)にサラリーマン役で出演中。