「教員免許状が来ました」引退後6年間、大学で勉強 元阪神選手の門出を祝うコメントが続々「目指せ甲子園」
元阪神タイガースの田上健一さんが苦節6年、念願だった高校の教員免許を取得、SNS上で報告すると「おめでとうございます」「応援しています」「目指せ甲子園!」と祝福のメッセージが多数寄せられました。田上さんは自身のツイッター(@tagami_61)に「教員免許状が来ました。プロ野球を引退してから大学に入学し6年。スコアラーやデータ分析など野球の勉強もしつつ、指導者をやる上で教育について学びたいとの思いでやってきた結果取得することができました」と免許状の画像を投稿しました。
投稿を見たファンからは、
「まずはおめでとうございます。教師になられるのであれば、どうか『教育』が一番であることを忘れずにおいてください。『勝つこと』に重きを置くと、必ず悪い方向にいきます。体罰や暴言などです。野球を離れても立派で、日本を支えられる人材を『野球を通して』育成して欲しいです」
「阪神の時、応援していました。その後、どうされてるのか気になっていましたが、教員免許を取られたんですね!これからの人生も頑張ってください!応援しています」
「おめでとうございます!努力の賜物だと思います。野球に携わる中、可能性が広がりましたね。目指せ甲子園!」
と、門出を祝う応援コメントが続々と届きました。
田上さんは創価大から2009年の育成ドラフト会議で、阪神に2巡目で指名され、育成選手としてプロ野球の世界に飛び込みました。6年間在籍し、通算123試合、19安打、打率.247の成績を残し、2015年オフに引退。その後はオリックスのスコアラーを経て、2020年からYouTubeの人気チャンネル「クニヨシTV」や「トクサンTV」に携わるなど、野球YouTuber、ベースボールアナリストと多才ぶりを発揮していました。また同年12月には、日本ハムの新庄剛志監督も参加したプロ野球12球団合同トライアウトに5年ぶりに参加して話題にもなりました。しかし引退後、指導者への夢を諦めず、通信教育で勉強を続けていたのです。田上さんにその間、どんな思いで勉強をしていたのか、話を聞きました。
■目標は高校野球監督として甲子園で優勝
ーー高校教員になって甲子園を目指したいという夢はずっとお持ちだったのでしょうか。
「星槎大学に入学する時にはすでにその思いはありました。現役引退を決める上で高校野球の監督のお話をとある学校からいただいたことがきっかけです。私立高校でしたのでアマチュア指導資格回復をすれば監督になることはできました。しかし、現状のままで指導者になるよりも、もっと指導者としての知見を高めることが大事だと思ったのです」
ーー「指導者としての知見」を得るために大学に行かれたのですか。
「過去を振り返ると、『なぜそうした方がいいのか』とか『ちゃんと投げたり打つためにはどうしたらいいのか』ということをきちんと指導できる人があまりいないように思いました。そこで、最終目標は高校野球で甲子園優勝という人生の目標を定めた上で、そこにつながる仕事や活動をしていこうと考えたのです。もっと教育について勉強をしようと決意し、大学に入学しました」
ーーなぜ教育が必要だと思いますか。
「ただ野球が好きで指導するというのと教育、人に伝えるというのは全く違うと感じています。
特に現代は、発達障害など目に見えない、分かりにくい障がいのある子もいます。そのため、人によってアプローチの仕方など、多角的な視野で指導しないといけないのです。もちろん、野球の技量を上げて、甲子園に出場するという方法もありますが、一番は人間教育、人材育成が目的にないといけないと考えています」
ーー6年間通信教育で勉強されたそうですが、途中で挫折しそうになったことはありますか。
「挫折しそうになったことはありません。自分の知見を高められることに喜びを感じていましたし、急いで免許資格を取ろうとも思いませんでした。なので、スコアラーやデータ分析などの仕事をしながら勉強をして、時間はかかりましたが、気づけば資格取得できたという感じです。資格を取得したからそれで終わりではなく、学びはずっと続くので特に挫折することなくできたのかもしれません」
■圧倒的に野球以外の人生の方が長い
ーー野球選手の第二の人生にも人材育成教育は役立つでしょうか。
「そうですね。圧倒的に野球よりもそれ以外の方が人生の方が長いです。そういう意味でも人材育成というのがとても大事になると思います。野球で『日本一』を目指すという目標を通じて、野球を離れても社会で通用する、必要とされる人でいられるように、育成しなければならないと考えています」
ーー教員免許取得、並大抵のことではないと思います。
「夢は諦めたら絶対に叶いませんし、諦めなければ叶う可能性があります。でもそれも、なんとなく『なりたいなー』というような気持ちでは難しいです。他にもその夢を目指している人間は沢山いますから、『なる』と決めないとなれないと思います」
ーー覚悟が必要ということですね。
「今までプロ野球の世界でプレーヤー、スコアラーとして、そしてデータ分析の会社で分析技術者として多くのことを学び、YouTubeは映像制作会社で映像編集技術を学びました。全て僕の中では指導者をしていく上で必要なスキルだと思い、現役引退をしてからも野球に関わる様々な仕事をしてきました。今後、まだどこで指導者をするかは分かりませんが、それまでは今まで通り『甲子園優勝』という目標に向けて勉強をし続け、高校野球の新しい形を生み出したいと思います。いつか甲子園の舞台で優勝します!」
◇ ◇
田上さんはSNSで多くの祝福の声が届いたことで後日、「すごく沢山のいいねとコメントをいただきありがとうございます!沢山の方から激励をいただき感謝です。コメントやDMでどこで監督されるのですか?と来ますが、まだどこも決まってはおりません」とツイートし、謝意を伝えていた。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)