元巨人、楽天の池田駿さん 現役引退から1年半で公認会計士合格 プロ野球選手の税金のサイクルに興味「少し面白いなと思って」

 CPA会計学院で講師を務める元巨人、楽天の池田駿さん(CPA会計学院提供写真)
 巨人時代の池田駿さん
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 元巨人、楽天で左腕として5年間活躍した池田駿さん(31)は昨年公認会計士の試験に合格。現在はCPA会計学院の講師を務める。公認会計士は合格率が10%前後で、医師、弁護士と並ぶ三大国家資格。セカンドキャリアとして選択した理由など、そのストーリーに迫る。

  ◇  ◇

 主に中継ぎとして、プロで通算83試合に登板した池田さんは今、自身も通った公認会計士予備校で講師を務める。「租税法という科目を教えています」。昨年12月から今年3月まで授業を行い、現在は来年度に向けての授業計画の作成に加え、受講相談も乗るそうだ。

 セカンドキャリアに、公認会計士を選ぶまでにどんなストーリーがあったのか。巨人でのプロ1年目にさかのぼる。17年オフ、税理士から初めてプロ野球選手の税金のサイクルを学んだ。「少し面白いなと思って」。興味が湧いたきっかけだ。

 その時はまだ漠然としていたが、4、5年目の楽天時代に「僕もそろそろ次のキャリアについて考えなきゃいけないかな」と思い、現役最終年の21年から勉強を始めた。

 現役引退から1年半後、池田さんは公認会計士の試験に合格した。現役引退後は定職やバイトに就かず、勉強に専念。「午前3時間、午後3時間、夜3時間で3時間3セットの計9時間。ご飯を食べながら、お風呂入りながら耳から聞くみたいな感じの時間も合わせれば10時間」とみっちり受験勉強に充てたという。

 自分との戦いの時間を過ごした。勉強自体「正直、きつくなかったです」というが、環境の変化に苦しむこととなった。

 「プロ野球選手は光を浴びながら仕事をする場所だと思いますが、そこから一変して家から出ずに全く光の当たらないところで、勉強することでのギャップを感じた部分がありまして…。格差、劣等感を感じた部分がありました。自分はダメな人間、と思い込む劣等感がきつかったです」

 元阪神投手の奥村武博さんなど前例はあるが、プロ野球選手→公認会計士は珍しいケース。愛妻の応援、サポートも受けつつ、周囲の一部からは「本当になれるの?」という心配の声もあった。それでも、池田さんは自らの選択、道を信じた。

 ヤマハから進んだプロの世界。野球選手の夢をかなえた時、逆算して練習する大切さを感じていた。「目標に向かって逆算して道筋を立てていくことは、公認会計士試験合格に向けて勉強していたことにも大いに役立っていた」と胸を張る。

 毎年、プロ野球の世界を離れ、さまざまな道に進む元選手がいる。第二の人生を送る池田さんが、実感したことがある。

 「挑戦的な行動をする時、新しい一歩を踏み出すことには、心配をして否定的なことを言う方もいらっしゃるとは思う。ゴールに向かってガムシャラに努力するだけじゃなくて、逆算してタスクに取り組むことが大事。それがあれば、なりたいものは基本的になれるんだなと思いましたね」

 プロの世界で大成することはできなかったが、新たな道で充実の日々を送っている。

 ◆池田 駿(いけだ・しゅん)1992年11月29日生まれ、31歳。新潟県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。新潟明訓から専大、ヤマハを経て、16年度ドラフト4位で巨人入団。プロ1年目の17年4月1日・中日戦(東京ドーム)で初登板(中継ぎ)。20年6月に楽天へ移籍。翌年引退。通算83試合に登板、2勝3敗、防御率3・95。

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