女性議員と戦闘服 そこに隠された意味を探る
今夏、女性政治家の躍進が目立つ。稲田朋美衆議院議員が防衛大臣に就任、また小池百合子氏が初の女性都知事となった。小池氏が「グリーンは私の戦闘服」と語ったように、自民党・丸川珠代議員の赤、民進党・蓮舫議員の白、社民党・福島瑞穂議員のピンクなど、党派を問わずの「勝負カラー」のスーツを着用することが多い。有権者に覚えてもらいやすいようイメージカラーを身にまとう。だが稲田大臣の場合、色ではなく眼鏡と網タイツといったアイテムが代名詞。また小池氏は衣裳を問われ「オーシャンブルー」と回答したが、実はそれは色を意味するものだけではなく…変わりつつあるある女性政治家のファッションと、そこに隠された意味をハイヒール・リンゴが語った。
◇ ◇
稲田さんの網タイツは個人的に好き。選挙区の福井は落下傘候補だったんじゃなくて、本当に出身地。だから福井の眼鏡と繊維の地場産業をアピールするために身に着けてらっしゃる。地元を意識され、女性の目から見ても素敵。稲田さんは、新しいタイプの女性政治家じゃないかな。これまで政治家って『色』で個性を出していた。例えば蓮舫さんの白いスーツをはじめ、上から下まで一色のスーツとかテーマカラーがある。でも稲田さんは眼鏡と網タイツ。実際は視力がいいのに、伊達メガネ。ファッション性のあるもので、どんどんアピールしてる。任命の時のドレスも富士山を意識したものとか。ファッションセンスを問われる大臣って新しいですよね。
小池さんも初都庁のとき、緑のスーツを脱いで、青を身に着け「ブルーオーシャンです」っておっしゃった。『ブルーオーシャン』(青い海)って経営学用語で競合相手のいない領域って意味なんです。その対となる競争の激しい既存領域『レッドオーシャン』(血で血を争う赤い海)と言うんですよ。そう考えると小池さんは、ただ単に色を指したのではなく、これからの状態を示す意気込みだと、私は感じました。色と言葉をひっかけているのもおしゃれ。いままで選挙戦で競争相手がいて、20人ぐらいの中勝ち抜いて、「いまは戦闘態勢にありません!みんなで力を合わせていきましょう」という意味を込めて『ブルーオーシャン』とおっしゃったと思う。そういう解釈している方少ないんですが(笑)。
だからもっと女性の政治家がさりげなくやっていること、言っていることを注目してほしいと思う。実は意味が隠されてるんですよ。もっと細かなサインというか、言動や衣服にそれが隠されているんです。
日本の女性政治家も、女性だから選ばれたんじゃない。人で選んで、それがたまたま女性だっただけというようになって欲しい。そういう点で稲田さんは女だから大臣になるんじゃなくて、この人だから大臣になれたいう人だと思う。ドイツのメルケルさんをはじめ、イギリスもアメリカも女性がトップになっている。ぜひ女性政治家に注目してほしい。
また小池さん自身も「グリーンは私の戦闘服」とおっしゃっていましたが、働いている女性は誰もが戦闘服を持っているんじゃないかな。私の知り合いのホステスさんも、髪の毛アップして着物姿になったら戦闘モードになるといってます。私の場合はメイクですね。メイクをすると強気になれる。だからスッピンのときの私は気弱ですよ(笑)。この間も、旅行していたときに「リンゴさんですよね!」って声をかけられたんですけど、素顔やから気が弱くて「…あ、はい」てむっちゃか細い声で返事してしまいましたもん。化粧したら「ハイヒール・リンゴ」になれるんですけど、してないときは本名の「美村美紀」。だから稲田さんの網タイツはいたら戦闘服というのもすごくわかる。五郎丸さんのルーティーンじゃないけど、男性だって服じゃないから気づかないだけで、何か自分だけの『戦闘の儀式』を持ってるんじゃないかな。
戦闘モードへの切り替えは、ちょっとしたことなんです。女性ならかかとの高いヒールの靴だったり、化粧だったり、例えば髪の毛を結ぶだけでも、その人にとっての戦闘服、戦闘モードだったりする。いいことだと思うんですよ。人間って常に戦ってはいられない。オンオフの切り替えって大事ですからね。