撮影者の意識が希薄-SNSの世界は怖いです
昨今のSNS流行で、自分の周囲のものを撮影し、写真をアップすることに抵抗がない人が増えてきた。その流れなのか、プライベートやロケ現場で芸能人を撮影し、自身のSNSにアップする人も。さらには仕事などで知り得た芸能人の住所などを、深く考えずに公表してしまうことも。だがそれらは肖像権などの問題もはらみ、プライバシーの侵害の恐れもある。ハイヒール・リンゴはそのような“悪気ない”行動に警鐘を鳴らした。
◇ ◇
カメラ付きの携帯電話が出回るまでは、一般の人はまだカメラを持ち歩くことは少なかった。だから昔は、街中でプライベートの芸能人を撮る人は、みんな「撮っていいですか?」と一声かけてくれていました。いまはスマホのカメラがあるから、無断で簡単に撮影できてしまう。あるとき私が「すみません、素顔なんで」と断ったことがあるんですが、「いや、大丈夫。僕は気にしないんで」って。“私が”気にするわ!ってことに思い至らない(笑)。
ロケ先でも撮影されることがあります。メイク直しをしている時など「すみませんが、撮らないでいただけますか?」と言ったら「別にあんたを撮ってるわけちゃうわ!その横の○○を撮ってるだけや!」と。この「あんたを-」という言葉は、芸人はみんな経験してるんじゃないかな。
私もインスタを始めましたが、誰かを撮影するときは一言断るし、SNSに上げてもいいか確認を取る。一緒に撮った芸能人や、その番組スタッフに許可を得るのは最低限の礼儀・常識だと思ってますが、私が思う常識と若い人のそれは違うんだろうなと感じます。
また最近は撮るだけじゃなく、それを自分のSNSにアップするじゃないですか。芸能人を載せると閲覧数が増え、「いいね!」が多かったりするそうです。でもそれって、肖像権等の問題があると思うんですよ。「ケチやな~減るもんじゃなし」という方もいますが、違うんです。私も外食している最中に、「いま〇〇にリンゴいる」とツイートされたことがあり、誰がつぶやいてんねん!と、店の中を見回してみたこともあります。これってどうなんでしょう。
さらに芸能人の場合、自宅をばらされて問題になることもあります。マンションに出入りしている業者が「ここには〇〇が住んでいる」とか、「自分の配達エリアに□□と△△が住んでいる」といったことを、自分のSNSに上げちゃうんです。住所を特定したり盗撮まがいのことをしても、なぜそれがダメなのかわからないんですよ。それって犯罪ですよね。
でも撮影した側はその意識が希薄。いまはみんなカメラを持っているから悪いと思わないんですよね。夜中、独りのつぶやきが全世界と繋がっているのに。簡単に考えすぎていて、怖いなと思います。