セクハラの定義、人によって違うから難しい
セクハラ・パワハラの加害者は、男性ばかりとは限らない。ハイヒール・リンゴが若手のころには、現在ではセクハラと言われる事象も周囲でいくつもあったという。だがそんな過去の話を若手にすることが「私たちが我慢したから、あなたも我慢しろ」と言われているのと同じで、パワハラに捉えられることもあるという。『大好きな人にして欲しいことを、大嫌いな人にされること』がセクハラのわかりやすい定義の一つだとし、「それだけに人によって違うから難しい。もう何もしゃべられへん」と語った。
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いまセクハラとパワハラが問題になっています。先日、女性記者が男性政治家を取材するうちに密室でセクハラが起きたことを、ある情報番組で取り上げたとき「だったら記者を男にすればいい」という発言をされた男性出演者がおられた。
男の人の認識ってそれくらいなんですよね。その発言をされた方は世界的に活躍されているので、もっと開けた考えをされてもいいと思うんだけど、やはり世代なんでしょうね。
私たちが若いときにはそんな男性が山のようにいたし、それが普通でした。男の芸人が「リンゴとモモコだったらどっちと付き合う?」と普通に会話していた時代です。
劇場には“弟子だまり”といって、弟子が自分の師匠のお茶を持って待機している場所があるんです。弟子同士は話も合うし、愚痴もこぼしやすい。境遇が似てるから、そこで仲良くなって付き合うことも多いんです。でも付き合っていたお弟子さん同士が別れたら、女の子の方が居づらくなってやめていくことが多かった。
だから師匠の中には、自分の弟子がそこに行くの禁止にしている方もいらっしゃった。弟子が付き合うと、師匠同士の仲が気まずくなったりするんです。「お前ところの弟子が」「いやあんたところの弟子が」と。まだ若手でそれを見ていた私たちは、そんな空気になるのがイヤで「付き合わんといて!」と思ってました(笑)。
そんな当時、ある芸人が年長のメークさんの胸を掴んだけど、メークさんは何も反応せず仕事を続けたそうです。芸人が「お前、おもろないな」ってつまらなそうに出て行った後で、その年長のメークさんが後輩に「ほらなっ!『きゃっ』とか言うから触ってくんねん」と言ったとか。すごい話でしょ?
でも難しいのは「昔はそういうことばっかりだったよね!」って若い子の前で話をすることがいまはダメで、パワハラになるそうです。聞かされている側は「私たちが我慢したんだから、あなたも我慢しなさいよ」と言われているのと同じなんだとか。
セクハラを一番言い当てているのが「大好きな人にして欲しいことを、大嫌いな人にされること」ですから。セクハラの定義として一番わかりやすいけど、それだけに人によって違うから難しいですよね。もう何もしゃべられへん(笑)。