ミャンマーで感じた本当の“おもてなし”
大勢の観光客が日本を訪れている。2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博なども控えており、さらなる増加が見込まれる。そんななか問題になるのが文化的摩擦。先日、仕事で訪れたミャンマーで、感嘆した“おもてなし”があったというハイヒール・リンゴ。日本でもタトゥーでの入浴問題が話題になっているが、迎える側も訪れる側も双方が尊重し、守るべきものがあるとし、本当の“おもてなし”とは何なのかを語った。
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私が出演している「あさパラ」のロケで、先日ミャンマーへ行ってきました。これからの発展が期待される敬虔な仏教国で、徳を積んだら素晴らしい来世が待っているという仏教的な考えがあり、僧侶が多く、大きな町にもほとんど物乞いの人がいない。また寺院や仏塔に入るときは裸足でないとダメなのですが、そんなミャンマーの文化を尊重し、私たち外国人も守らなきゃいけないものだと思うんです。
ミャンマーでは『天空の寺院』とも呼ばれるポッパ山にも行きました。700段位の階段を上った山の頂上に寺院があるんですが、そこは猿が多いことでも有名。野生の猿なので糞もスゴいけど、それでも寺院なので裸足じゃないとダメだと聞いていました。
ところが実際に上ってみると、猿の糞はほとんど無いんです。聞けば現地の方が、外国の観光客が来るからと、掃除をしてくれているんだとか。猿を追い出すのでもなく、外国人が靴を履くのを認めるのでもない。掃除をすることで、外国人に気持ちよく観光をしてもらう。これが本当の“おもてなし”だと感じました。
日本でも外国人観光客の増加に伴い、温泉でのタトゥー論争が起きています。元々、日本の入浴施設はタトゥー禁止の所が大半。タトゥーを入れた人が温泉に入れませんというのは日本の文化なんだから、それはそれで守ってもらえばいいと私は思います。だけど「温泉に入るな!」というんじゃなくて、タトゥーの人のための場所を別に用意すれば良いのではないでしょうか。家族風呂をタトゥーの方専用にするというのも一つの方法。それが“おもてなし”じゃないのかな。何もかも海外の文化に合わせる必要はないし、出来ないことは出来ないでいいと私は思います。
その一方で、これまでも「タトゥー禁止」としながら、隠せる程度のサイズのものをテープで隠して入湯するのであれば、見て見ぬふりしてきたじゃないですか。それが日本の心配り。だけどワンポイントじゃく、全身に入れている人まで受け入れるのはどうでしょうか。日本社会で刺青というのは、反社会的勢力の人たちのイメージが強く、心理的なものもありますからなかなか難しいけど、声高にそうもいえないというのが現状だと思います。
ミャンマーでは、外国人が現地の文化に合わせています。現地の人たちも掃除をするということで徳を積み、自分の文化を守りながら私たちに“おもてなし”をしてくれました。日本もどちらの側にも配慮をした、そういう着地点を探すべきだと思います。