街でも「リンゴ姉さん!」若手芸人の言い方が移ってきた
日本語には多くの敬称がある。「さん」「君」「ちゃん」に「様」「先生」…。上司や先輩、後輩らをどう呼んだらいいのか、誰もが一度は混乱した経験があるのではないだろうか。ややこしくて実は奥深い「呼び方問題」について、ハイヒールリンゴが考えます。
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敬称って難しいですよね…。最近の学校は男子も女子も「さん」で呼ぶそうですが、私は「男子は君、女子はさん」で育った世代なので、マネジャーや若手の年下の男性には「〇〇君」と呼んでしまいます。でも女性の上司が若い男性の部下や後輩を君付けするのは「なれなれしい」とか「下に見てる」とか、さらには「君付けで呼ぶ女は好意を持ってる」という説まであるとか。そんなこと思ったこともないわ!と思うんですけど、相手がどう受け止めてるのか気を遣わないとダメですね。
年齢が下でも立場によりけりで、例えば私が出演させてもらっているフジテレビ「ノンストップ」の司会の設楽統さん(バナナマン)は私より後輩で年下ですがやはり「設楽さん」と呼んでいます。メインの司会者と脇のコメンテーターという間柄でメインの方を君付けで呼ぶことに、私は、すごく抵抗があるんです。視聴者の方も何かしらの違和感を抱かれると思います。もちろん設楽さんはそんなこと全然気にされていませんが、こちらサイドの「礼儀」みたいなものですね。
「さん」「君」以外にも、昔、相方のモモコが小学校の校長を「校長!」と呼んでいたので、校長は役職名だから「敬うなら『校長先生』ちゃう?」とツッコんだことがありました。もちろん学校の長、責任者であるという役職なので呼称自体が尊敬語になり、そこに「先生」をつけると二重敬語となり失礼にあたるというのは知っていますが、本人を目の前にして「〇×校長!」はあまりにも親しみすぎている(笑)故に「校長先生」という呼称は市民権を得ていると言えますよね。でも手紙で「校長先生 様」と書いたら二重敬語になって逆に失礼になるし…。ある人に「役職と名前を分けて『〇×学校 校長 △△様』と書くのが良い」と教わったんですが…本当に日本語って難しい。誰か統一してー!って声を大にして言いたい。
そこ行くと、芸人の世界は便利と言えば便利。先輩は「兄さん」「姉さん」。東京は少し違うかもしれませんが、大阪の吉本はNSCに入ったときから芸歴が始まり、年齢は関係ありません。「師匠」は「自分が入った時点で弟子を持っている人」。と、花子姉さん(宮川大助・花子)に教わりました。一度兄さん、姉さんと呼ぶと、その後その人が弟子を取られても「兄さん姉さん」のまま呼び方を変えません。だから私は花子さんを「花子師匠」と呼ばずにずーっと「花子姉さん」です。
最近、街を歩いていると「あっ、リンゴ姉さんだ!」と言われたりします。若手芸人の言い方が移っているのでしょうね。なんか不思議な感覚です(笑)。