教えて!リンゴ姉さん「辛くても失敗恐れないで」最愛の友を亡くしたハイヒール・リンゴが若い世代に伝えたいこと
今の若い子達が受けている教育は、自分に自信を持ちなさい、自分をキチンと主張しなさい、イヤな事はイヤと言える人になりなさい、という私達の時代とは少し違うものだと思います。
最近、若い子たちから「相手を傷付けないようにどう伝えたら」といった相談を受けることがありました。大事なことだと思いますが、自分を主張することで嫌われることも、意図せず傷付けてしまうこともあると思いますし、それを乗り越える事も人間として練習していかないといけないことではないでしょうか。
今の20代30代は、物心ついたころからメールがあり、LINEがあり、短い文章で伝えることには慣れていても、コミュニケーションを取るのが下手だなと感じる事があります。何を言ったらダメか、どう言ったら良く思われるかばかりに気持ちが行ってしまい、今のままでは、遠からずAIに抜かされてしまうのでは、とも感じてしまいます。
自分に自信をつけようとするが故に失敗を恐れ行動できず、失敗しないために「トリセツ」を欲しがる。それでも失敗してしまう。でもそれが当たり前。失敗はしていいと私は思います。その時は相手を傷つけたり、自分も傷付いたりし、周囲にはネタにされ、バカにされるかもしれない。でも何十年もたったら、そんなこと笑い話になるんです。
どんなに辛いことだって…です。
私は、20年以上前に親友を肺がんで亡くしました。「非常階段」のシルクさんの相方だったミヤコさん。テレビ番組の企画で人間ドックを受けたのがきっかけでがんが見つかり闘病に専念するも、半年後、あっという間に旅立ってしまいました。37歳の若さでした。
私は彼女が大好きで大好きで、親が亡くなったくらいに悲しかった。でもお葬式には仕事で参列できなかったんです。生放送のラジオ番組でしたが、本当に悲しくて、声もお通夜みたいだったんでしょう。中田ボタン師匠がその放送をタクシーの中で聴いて、わざわざラジオ局まで駆け付けて「お通夜みたいな放送するな!」と叱って下さった。
すごくありがたい話で、その時私は「そうだ、私は芸人なんだ!!」と改めて気づく事が出来ました。収録が終わってすぐ火葬場に駆け付けたら、女性の職員さんが「早く!!早く!!早くしないとミヤコちゃん焼き上がっちゃう!!」って。
当時は悲しくて辛くてたまらなくて、何も感じなかったんですが…20年以上たってみたら、おばちゃん、「焼き上がる」っておかしくない?ハンバーグちゃうねんから…(笑)さらに、亡くなった直後にミヤコちゃんが自分の年齢を1歳若く言っていたことを知って、そのときは「なんで私にも本当のこと言ってくれへんかったん?」と悲しくなりましたが、今は「最後までサバ読んどったんかい!」と突っ込めるように。
目の前に、大変なことがあるときは人間だれでも臆病になりますし、それで頭がいっぱいになるもの。でもほら、笑えるんですよ、いつか。どんな辛いことも、悲しいことも、恥ずかしいことも、笑えるようになる。いっぱい失敗して、いっぱい辛い思いもしてきて、今の私がある。だから、若い人たちにも怖がらないでどんどん失敗して欲しいな、と思います。そうして、大人になっていくんですから。