なぜかTBSで「青春とはなんだ」回顧

 8月16日にBS-TBSにて「感動再会!同窓会の旅“青春とはなんだ”編」という2時間番組が放送された。

 夏木陽介主演の「青春とはなんだ」は1965(昭和40)年から日本テレビで放送。学園青春ドラマの草分けにして、後の「これが青春だ」、「でっかい青春」(ともに竜雷太主演)、「進め!青春」(浜畑賢吉主演)、「おれは男だ!」(森田健作主演)、「飛び出せ!青春」(村野武範主演)、「おこれ!男だ」(森田健作主演)、「われら青春!」(中村雅俊主演)へと続く、同局の日曜夜8時枠、伝統の青春学園ドラマシリーズの原点となった作品だ。

 今年は、その「青春とはなんだ」の放送開始から半世紀という記念イヤーなのにDVDやブルーレイBOX発売などの話もなく、日本テレビではなくTBSのBS局で同窓会番組が放送されるというカオスな状況に…。

 番組は野々村健介先生こと夏木が、第1話の冒頭でヤクザ者と乱闘を繰り広げたJR中央線の勝沼ぶどう郷駅(当時・勝沼駅)の前で、生徒役だった岡田可愛、水沢有美と再会。ご当地の名物等を紹介しつつ白樺湖で、凸凹コンビのノッポのほう・木村豊幸とも再会するという、このドラマを知っている人には感動の同窓会番組、知らない人はグルメ紀行番組として楽しめるという趣向だった。

 原作は石原慎太郎。言うなれば石原版の「坊っちゃん」。坊っちゃんは気に食わない赤シャツや野だいこをボコって、さっさと東京へと戻ったが、この作品では何かと野々村と敵対する暴力団組長(後に死ね死ね団を率いる平田昭彦)の義妹が野々村を慕うマドンナ教師(藤山陽子)という設定で抑止ともなり、破天荒な野々村も学校をクビにならず、連続ドラマ化も可能という大発明!学校や街の権力者の血縁をマドンナ教師にするという設定はシリーズを通じて継承され続けた。また、若い野々村を擁護する年配者として加東大介(山角先生)、宮口精二(下宿先のおやじ)と元・七人の侍である2人が脇を固めているのも東宝制作ならではの豪華さ。悪役教頭役の山茶花究もいい味を出していた。

 主人公教師がラグビーを指導するのは原作通りだが、以降のシリーズで映像スタッフ泣かせのサッカー(ボールと顔が同じ画面に入りづらい等)が頻繁に採用されたのは「高校サッカー」を応援する日本テレビの意向だったそうだ。

 ◆高木圭介(たかぎ・けいすけ)1969年、神奈川県川崎市生まれ。93年に東京スポーツ新聞社に入社し、プロレスや格闘技、社会事件、レジャー担当の記者、デスクを歴任。2014年にnMo(エヌエムオフィス)所属のライター兼コラムニストに転身。昭和期の風俗、広告、映画、ラジオ、テレビ番組の研究をライフワークとする46歳。公式ブログは「高木圭介のマニア道~浮世のひまつぶし~」(http://ameblo.jp/takagi-mania/)。

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