【回答者・篠原かをり】容姿に自信がありません
【聞きたい】私は容姿に自信がありません。人からは「全然悪くないよ」「かわいいよ」と言われるのですが、常に引け目を感じてしまいます。最近では、人との集まりに参加するのも、おっくうになってしまっています。自分を変えたい…。(33歳・女性)
【答えます】容姿という枷(かせ)に対して「引け目を感じる」つまり、劣等感から心がひるんでしまう気持ちは痛いほどにわかります。自分の容姿がどう思われているのか、他人の目が気になる一方で他人の言葉を素直に受け入れることができない不安もわかります。
けれど、実は可愛いことにも可愛くないことにも意味がありません。クジャクの羽が鮮やかなこともシュモクバエの眼が長いことも特別な意味はなく、ある好みが偶然に多数派になった結果だと考えられています。これを生物学用語でランナウェイ仮説といいます。容姿の良し悪しは集団の好みが合理性を失って暴走しただけの話なのです。
もし、どうしても自分の容姿が好きになれないとしても身を呈して多様性に貢献しているとでも思えばいいのです。また、鮮やかでさえあればいいクジャクとは異なり、人間の美醜は定まっていません。同じ人を絶世の美女と評価する人もいれば、全く逆の評価をくだす人もいます。不確かなたくさんの評価に一喜一憂していたら疲れてしまうので、意味がないと言えます。
容姿を気にかけることの一切が無駄かというとそうは思いません。例えば、頭の中にいくつかの服を思い浮かべた時、これを着た自分は悪くないだろうなと思う服やメイクを見つけるのは自分の機嫌をとるためにいいことだと思います。
誰しも自分の機嫌をとるのに精一杯で他人からどう見えてるかを気にして自分以外のご機嫌を伺ってみようなんて思ったら、オーバーワークになってしまいます。色も形もなんでもいいと思う人は着心地のいいものを選べばいいと思います。
人との集まりに参加する時なんて自己ベストだと思う自分に予定と行き先をあげるくらいの感覚でいいのではないでしょうか。気分が乗った時に。
◆回答者プロフィール 篠原かをり 神奈川県出身、22歳。慶応大学環境情報学部で生物学を学ぶ。自宅でゴキブリ300匹、サソリ、タランチュラなどを飼育する生き物オタク。17年11月にビジネス書「サバイブ」(ダイヤモンド社)の原作を担当。