能見×岡田彰布氏(1)勝てるピッチャーに徹すればいいんやないか
阪神・能見篤史投手(38)がデイリースポーツ評論家で元阪神監督の岡田彰布氏のインタビューに応じた。岡田氏の監督就任1年目、04年度ドラフト自由枠で入団。長年、エースとしてマウンドに上がり続け、阪神投手陣の精神的支柱としてもチームを支えてきた。入団当初の思い出を交えた足跡、そして現状、さらには将来にわたるまで存分に語り合った。
◇ ◇
岡田彰布氏(以下岡田)「今日はよろしく」
能見篤史投手(以下能見)「よろしくお願いします」
岡田「今年で何年目になるんかな」
能見「14年目です」
岡田「トシは?」
能見「25歳で入団したので、今年で39になります」
岡田「39歳か!チームでは福留の次ぐらいになるんかなあ」
能見「そうですね。1つ下が(藤川)球児。そういう年代です」
岡田「球児より上なんや。でもさっき、ブルペンを見せてもらったけど調子ええやろう?」
能見「はい」
岡田「そういう、調子を維持した中でじゃあこれからは何を求めるか、やなあ。もう三振はいらんやろう?」
能見「はい。いらないですね」
岡田「本人もそうやろうけど、チームも勝てるピッチャーが欲しい。勝つんが一番やから」
能見「本当にそうですね」
岡田「10勝3敗。7つの貯金ぐらいでどうやろう。中6日で投げて、半分勝ったら13勝くらいか?」
能見「去年は中5日が3度、ありましたけど、中6日なら多くて25試合くらいになりますね」
岡田「10勝3敗、悪くて5敗。先発の役割を果たしたら、後ろ(中継ぎ陣)のスタッフはええから数字は残るよ。三振とか狙わんでええから、勝てるピッチャーに徹すればいいんやないか」
能見「省エネ、というのは考えながらやってます」
岡田「あとは“遊び”やなあ。能見の場合は4番バッターも、8番バッターも全力で抑えにいくタイプやから」
能見「(下位打者に打たれることが)怖いんですよねえ」
岡田「分かるよ。7、8番は絶対に抑えなアカンというのは。でも遊びながら、2、3球で片付ける、というピッチングを覚えた方がええと思う」
能見「うれしくない三振、というのはあります。下位打者から取っても、ですね」
岡田「クリーンアップから三振を取るんと、2アウトランナーなしで下位から三振を取るんとでは違うからな。いつも目いっぱい、となると、タイミングもずっと同じやから打ちやすくなるし、メリハリをつけた方が長く投げられるんやないかな」
能見「そうですね」
岡田「ピンチで、三振が欲しい、という時には取りにいく。あとは、野手が後ろから見てても『打たせてくるな』と分かるような感じでええよ。全部、全力、になると五回くらいでしんどくなる。うまく抜くことができたら、2ケタは絶対勝てるよ」
-去年は6勝6敗。ただ前半の防御率を見れば、もっと勝てるピッチングもしていた。
岡田「そこは、なあ。相手ピッチャーに抑えられてるところとの兼ね合いやから。ただ、先発のノルマとして7回投げて3失点くらいなら合格やろうし」
能見「難しいところですね。抑えていても、勝てないというのはありますから」(以下、2に続く)