小山氏×安仁屋氏(1)カープは打つけど阪神打線は「山口百恵」
現役通算320勝を誇る小山正明氏(83)と、広島OB会長の安仁屋宗八氏(73)がリーグ戦再開を前に緊急対談、選手育成法から虎&鯉の現状、さらには今後のペナントの行方について、自身の経験を交えて語り尽くした。場所は兵庫・西宮の小料理店。かつては阪神でコーチと選手の間柄でもある“ご意見番”2人の過激トークは時間を忘れて続いた。全5回の内、今回はその1回目。
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小山「お久しぶり。広島は(首位で)さぞかし盛り上がっとるんやろうな」
安仁屋「そうですね。サッカーのサンフレッチェも今年は強いし、テニスの全仏オープン女子ダブルスで準優勝になった二宮真琴さんも広島市出身。そういう意味では広島のスポーツ界は活況ですよ」
小山「カープも3連覇に向けて首位を走っとるし、言うことないわな」
安仁屋「交流戦の最後に5連敗はしましたけどね。でも、マツダスタジアムは毎試合満員で、ワシらOBでもなかなかチケットが取れんのですよ。よく『安仁屋さん、あんたの力でどうにかならんの?』と言われるけど、ホントにないんじゃけ(苦笑)」
小山「甲子園もそう。阪神電車に乗ると車中の電光掲示板にいつも『本日完売』って出よる。何で完売なんよ?と思うこともあるけどな。で、安仁屋は今年の阪神をどうみる?」
安仁屋「沖縄・宜野座のキャンプで一度だけ見させてもらったんですが、雰囲気は良かったし、今年は面白いかな、と思ってたんですよ。金本監督も新外国人選手のロサリオに期待してたし。それに大山、高山なんかキャンプ当時は良かったのにね。歯車が狂ったというか…それと投手ですよ。能見なんかあれだけカープに強かったのが最近さっぱりでしょう。左に打たれるようになりましたからねぇ」
小山「能見だってもう39歳やろ。衰えが出てきても仕方がない部分はある。そら元気な時の彼と今を比較したらあかん。打つ方の福留にしてもよう頑張ってはいるけど、ちょっとストレート系が強い投手には振り遅れることもある」
安仁屋「阪神も誤算は色々あったようですが、カープだって想定外のことが続きました。開幕投手の野村が故障で早々に離脱し、去年の最高勝率投手の薮田は制球難から1軍、2軍の行ったり来たり。先発では大瀬良と岡田が何とか持ちこたえていますが、ここは中継ぎ陣の踏ん張りが大きいですね」
小山「そっちは打つからええがな。こっちはチーム打率が2割3分そこそこでホームランもリーグ最少やで(苦笑)」
安仁屋「新聞が大きいと思うんです。“逆転のカープ”とか書いてくれるんで、ファンも選手もみんなその気になって六、七回になったら“打てるんじゃないか”と。やっぱり気持ちというのは大事じゃないですか」
小山「そやな。阪神なんか初回に点を取っても“山口百恵”や。『これっきりこれっきりこれっきりで~すかぁ~』てな」
(第2回に続く)