吉田鋼太郎の魅力
今月19日に行われたNHK「鬼と呼ばれた男 松永安左ェ門」(総合、9月19日、後9・00)の取材会で、主演俳優・吉田鋼太郎(56)が取材陣をメロメロにした。
ドラマで戦後復興のため電力事業を分割民営化した松永安左ェ門の生涯を演じた吉田。池端俊策氏の脚本では70代の安永に焦点が当てられていたため、吉田は“付け眉毛”と老人の特殊メークで見事に熱演。吉田の演技力と存在感が十分に生かされた良作となっている。
現在では、テレビにも引っ張りだこの吉田だが、俳優歴は長く、舞台を中心に活躍してきた実力派だ。2000年代からはテレビ出演も増えたが、昨年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の嘉納伝助役でお茶の間にも広く知られるようになった。今クールはテレビ朝日系「刑事7人」にも出演中だ。
これまでも有名女優との大人の恋が報じられてきた吉田だが、7月上旬に行われた「刑事-」の制作発表では共演者の発言で、ダンディーな吉田の私生活に注目が集まった。主演の東山紀之(48)が「僕は15歳からこの仕事をして清廉潔白に生きてきましたが、吉田さんは真逆な感じがして憧れる。今までどんなひどいことをしてきたのか…」と奔放な吉田への憧れを告白。高嶋政宏が「うちの奥さん(シルビア・グラブ)を口説いた」と暴露したのである。
「鬼と呼ばれた男」の取材会は、週刊誌で、吉田と恋人の破局、さらに吉田の新恋人の存在が報じられた直後だった。
取材は和気あいあいとした雰囲気でスタート。しばらくして記者からは「役と似ているところは?女性にモテるところでしょうか?」と私生活とからませた質問が飛んだ。
役以外について語りたがらない俳優も多いが、吉田は嫌な顔一つせず「僕は全然モテないですよ。今は正真正銘1人ですし、彼女、いないです。彼女募集中です」とサラリと報じられた破局を認めた。さらに「週刊誌を騒がせてますが…」との問いに「半分は本当、半分はうそ」と応じ、新恋人はいないことまで示唆したのである。
吉田は同作の撮影後1カ月ほど役が抜けなかったことを明かし「それで1人になっちゃったんですけど」と破局の原因にまで言及。直後に「余計なこと言わなくていいよね~。調子にのっちゃったね」とドラマスタッフを気遣うなど、大人としての器の大きさを見せつけた。
一方で、少年のような表情も見せた。妻役を演じた伊藤蘭(60)について聞くと、「キャンディーズの大ファンだったんですよ。LPを持っているんだけれど『そよ風のくちづけ』っていう曲が好き。最初はスーちゃんが真ん中だったんだけど、途中からランちゃんになったんで、ランちゃんに鞍替えして…」と目をキラキラ。伊藤にはファンであることを伝えたというが、「口説かなかったんですか?」との問いには「口説いてませんよ。高嶋の嫁は口説きましたけど」とジョークで返した。
取材会が終わると、そこにいたすべての記者が声をそろえて言った。「なんてすてきな人!」。
短い時間だったが、大人のウイットと少年の心、誠実な人柄で、取材した記者、男女全員を魅了してしまった。吉田鋼太郎はやはりモテ男なのである。
(デイリースポーツ編集委員・原田智恵)