京太郎、快挙!ヘビー級世界ランク入り
「ボクシング10回戦」(19日、後楽園ホール)
京太郎が大金星!!K‐1の元王者で、ボクシングの日本ヘビー級1位の藤本京太郎(26)=角海老宝石=が19日、東京・後楽園ホールで世界ボクシング評議会(WBC)同級15位のチャウンシー・ウェリバー(29)=米国=と対戦し、3‐0で判定勝ちした。最重量級のヘビー級で日本選手が世界ランカーに挑戦したのは初めて。勝利を収めた藤本は、日本人初の快挙となる同級世界ランキング入りを確実にした。
日本ボクシング界の歴史に新たな1ページを書き加える勝利だった。勝ち名乗りを受けた京太郎は「日本人にヘビー級は不可能なんて言葉は、ボクの耳には聞こえなかった」と、リング上で吠(ほ)えた。
腹回りの肉が垂れ下がり、調整不足を感じさせたウェリバーを、京太郎は落ち着いて迎撃した。田中栄民トレーナーが「アウトボクシングか接近戦か、1ラウンドを見て決める」と話した作戦でアウトボクシングを選択、京太郎は見事に実行。ウェリバーの体を密着させて放つ連打と頭を低くして突進するプレッシャーをスピードで勝るフットワークでいなし、ワンツーのボディーなどを的確にヒットさせた。
初体験の10ラウンドでも手数は衰えることはなく、終わってみれば最大で8ポイント差がつく文句なしの判定。「パンチは全部見えていた」と余裕の言葉まで飛び出すほどの会心の勝利だった。
控室では、試合を観戦したパナソニックに所属するラグビーの世界的スターで、ボクサーとしても東洋太平洋ヘビー級1位にランクされているソニービル・ウィリアムズから祝福も受けた。
実は、1カ月前にはピンチが訪れていた。スタミナ強化のためにロードワークを増やすなどしたが疲労が蓄積。へんとう腺を腫らし、入院を余儀なくされた。試合が気になり、一度は病院を抜け出したものの、悪化し再入院。10日間も病床に伏した。40度の高熱に襲われ、一時は試合の中止も考えたという。
これで日本人初の世界ランク入りが確実。世界王座挑戦圏内に入る。萩森健一マネジャーはWBC同級王者ビタリ・クリチコへ挑戦オファーを出すプランを持っていた。だが、クリチコが9日に9度目の防衛を果たした後、政界入りを目指して引退を表明。ソニービルとの対戦の声もあったが、「今後は、現在は白紙。世界王座に挑戦はできる位置なので、前向きに考えます」と話した。
「これは通過点。ボクの目標は、この先何十年と通用するような実績をつくること」と宣言した京太郎。歴史はまだ始まったばかりだ。