粟生に引退勧告 惨敗で会長バッサリ

 「WBC世界Sフェザー級タイトルマッチ」(27日、東京国際フォーラム)

 王者・粟生隆寛(28)=帝拳=は同4位の挑戦者ガマリエル・ディアス(31)=メキシコ=に0‐3の判定で敗れ、4度目の防衛に失敗した。期待されたWBA同級王者・内山高志(32)=ワタナベ=との王座統一戦は消滅した。本人は現役続行を示唆したものの、所属ジムの本田明彦会長からは引退勧告ともとれる発言も飛び出した。日本人の世界王者は5人となった(WBC名誉王者・西岡利晃=帝拳=は除く)。

 いいところを出せないままベルトを失った。粟生は「自分の力が足りなかっただけ」とポツリ。上体を大きく動かすディアスのラフな手数の前に、終始ペースをつかめなかった。偶然のバッティングで左目上を大きくカットする不運にも見舞われたが、定評あるディフェンスもさえを欠き、大振りのパンチを何度も被弾。「気持ちと手のバランスが合ってなかった」と、力のない声で振り返った。

 丸腰になった粟生に、本田会長は辛辣(しんらつ)な言葉を投げかけた。粟生自身は好調を口にしていたが、会長は「減量に入ってからひどい状態で練習していた。体のキレが全くなかった。何が原因か分からない」と謎の調整失敗を指摘。その不調ぶりに今月初め、試合のキャンセル指令を出したほどだった。粟生が泣きながら「頑張るので、やらせてください」と訴え事なきを得たが、試合は惨敗だった。

 会長は「あれだけ調子の差が大きければ、王者の資格はない」とバッサリ。「(不調の)原因が分からないなら、辞めるしかないんじゃないの」と、引退勧告ともとれるドッキリ発言も飛び出した。この日、同ジムのWBA世界ライト級10位・三浦隆司が前東洋太平洋同級王者・三垣龍次に見事な1回KO勝ち。会長は保有するオプションを「三浦に使いたい」と、粟生の“再挑戦権”はく奪まで示唆した。

 厳しい立場を自覚してか、粟生は今後について「一から出直したいですけど…」と言うのが精一杯。世界2階級制覇王者がボクサー人生の崖っぷちに追い込まれた。

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