「ボクシング８回戦」（５日、後楽園ホール）

　１３年の日本ボクシング界最初の興行となる大橋ジム興行の前日計量が４日、都内のＪＢＣ本部事務局で行われた。５０キロ契約８回戦を行う元高校生アマチュア７冠の日本ライトフライ級６位・井上尚弥（１９）＝大橋＝は４９・９キロ、対戦相手のガオプラチャン・チューワッタナ（３５）＝タイ＝は４９・８キロで、それぞれ１回目でパスした。

　“怪物”が、今年の目標に王座奪取を掲げた。プロ２戦目の前日計量を１回目でクリアした井上は「体調はバッチリ」と好調をアピール。そして、「今年は日本か東洋のタイトルをしっかり獲りたい」と宣言した。

　今年から世界挑戦資格は王者経験者に限られる。ＷＢＡ世界ライトフライ級王者・井岡一翔（井岡）が持つ７戦目で世界奪取の日本最速記録更新が期待される井上には、避けられない目標だ。

　そのためには、目前の試合を突破すること。相手は身長１４８センチだが、タイのライトフライ級王者。井上は「あそこまで小さい相手とはやったことがないので、やりづらさはある」と話したが、「左手１本でコントロールする気持ちでやりたい」と完勝を義務づけた。

　成長も実感している。同門の八重樫らも師事するフィジカルトレーナーの土居進氏の指導で筋力トレーニングを取り入れ「パワーがついた」と効果に手応え。さらに「デビュー戦の時より力のある左ジャブが打てるようになった」と話した。

　昨年大みそかの世界戦５試合はすべて見たという。中でも将来のライバルとも言える井岡の戦いには「打ち終わりの手がすぐ戻るとか、ディフェンスがきっちりしている」と感心。「そして、見習えるところは見習って、あの位置にたどり着けるように頑張りたい」と刺激も受けた。１３年は世界奪取の礎の年にする。