曙、大鵬魂で3冠獲る 26日に船木戦
「全日本」(22日、千葉ポートアリーナサブアリーナ)
元横綱の曙(43)が、19日に死去した角界の大先輩で元横綱大鵬の納谷幸喜さん(享年72)を悼んだ。納谷さんとは相撲の現役時代、あいさつを交わす程度だったというが、32回の最多優勝を誇る大横綱を自然に目標にしていたと明かした。全日本の26日・大田区大会で船木誠勝(43)の持つ3冠王座に初めて挑む曙は、納谷さんや自身が築き上げた横綱のプライドを懸けてベルト奪取を誓った。
角界の大先輩の死は衝撃だった。初の3冠王座挑戦を4日後に控えた曙は「大切なときにいろんなことがある…」と寂しそうな表情を浮かべた。
「自分より、ずっと上の人」という大鵬親方こと納谷さんとは、あいさつを交わす程度だったという。それでも、常に意識していた。92年夏場所に初優勝すると、第48代横綱大鵬の大記録が自然と頭から離れなくなった。93年初場所後に自身が第64代横綱に昇進すると、より偉大さを実感した。
優勝11回の曙は「(32回は)すごいですよ。優勝し始めると、そういう(最多記録の)話になってくる。目の前にいつもあった」と振り返った。そして「(これからも)なかなか超えられないと思う」と最敬礼した。
大鵬さんらから綱のプライドを受け継いだ男は、プロレスラーとして最高峰の王座を目指す。この日は最後の前しょう戦で船木と対決。激しい絡みはなかったが、左ミドルを捕獲して投げ捨てた。試合後、王者と握手して健闘を誓い合った挑戦者は「3冠は横綱と同じ。心技体がカチッとはまってないと取れないと思う。自信があるからこそ、簡単ではないと分かってる」とうなずいた。
この日は温存したが、相撲時代の同期でケガのため引退した元ノア・力皇の得意技・無双を使い始めた。「相撲がなかったら曙はいない。すべてのはじまり」。土俵からリングに生きる場所を変えたが魂は不変。「大田区ではすべてぶつけていく」。元横綱は全身全霊を懸けてベルト取りに挑む。