小国TKO陥落…初黒星で引退表明
「東洋太平洋Sバンタム級タイトルマッチ」(10日、神戸サンボーホール)
ボクシングの東洋太平洋スーパーバンタムタイトルマッチが10日、神戸サンボーホールで行われ、4度目の防衛戦に臨んだ王者・小国以載(VADY)が、10回終了TKOで同級7位の挑戦者・和気慎吾(古口)に敗れ、王座から陥落した。デビュー11戦目で初黒星を喫した小国は試合後、現役引退を表明した。
世界に迫りつつあった“赤穂の流星”小国が散った。“リーゼントボクサー”として売り出し中の和気に初回からペースを渡すと、2回に左ストレートでダウン。5回には右まぶたから流血した。得意の右ストレートは空を切り続け、ダメージが深刻と見た陣営の高嶋穣会長が10回終了後に棄権を申し出た。
09年に高嶋会長が設立したVADYジムの1期生としてプロデビュー。わずか7戦目で東洋太平洋王座を獲得すると、3度の防衛に成功。この日も会場に駆けつけた同学年で仲の良いWBA世界ライトフライ級王者・井岡一翔(井岡)、WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮(井岡)と競い合うように、世界を目指していたが、“東洋卒業”を誓って臨んだV4戦に思わぬ悪夢が待っていた。
試合後は両まぶたを縫合して痛々しい姿で会見。「研究されていました。完敗です」とサバサバした表情で敗北を認めると、「引退します。一度でも負けたら辞めると決めていた。悔いはないです」と表明した。
アマチュア時代から小国を指導してきた高嶋会長は無念さを隠しきれない。「負けたのは俺の責任。ジムを作ったばかりで焦って勝負させ過ぎた。キャリア初期にもっといろんな選手と対戦させて経験を積ませるべきだった」と、愛弟子を最後までかばった。