渡部、大丈夫!?強引減量で脱水症状
「ボクシング東洋太平洋ウエルター級タイトルマッチ」(18日、後楽園ホール)
前日計量が17日、都内のJBC本部事務局で行われ、5度目の防衛戦となる王者・渡部あきのり(27)=協栄=は1回目に68・0キロと、リミットから1・4キロも超過し、王座はく奪の危機にさらされたが、必死の減量を試み、2回目に66・4キロでクリアした。
マンガのような、すさまじい光景だった。渡部は1回目の計量失敗後にサウナへ急行。2時間以内の再計量が認められているが、絞った体で1・4キロも落とすのは困難と思われた。東洋太平洋と世界王者では日本人初となる計量失敗での王座はく奪の危機。だが、渡部は2回目でなんとリミットを200グラム下回ってクリアした。
困難を可能にしたのは、萩原篤トレーナーが世界王座に4度挑戦した坂本博之氏から学んだ“秘伝の術”。同トレーナーが「ベビーオイルを塗ってサウナに入ると汗がよく出ると聞いた」と話す方法を行わせると効果てきめん。約1時間でリミットに達したという。
一方で短時間での減量で渡部のほおはこけ、目はうつろ、時折うわ言を発するなど、脱水症状の状態。体重計から下りると床に倒れ込み、10分以上起き上がることはできなかった。WBC世界12位につけ、世界を目指す上での一戦を前にした失態に、萩原トレーナーは「今回は無理だと思った。気の緩みが大きい。とにかく、勝ってもらうしかない」とあきれ顔。渡部は蚊の鳴くような声で、「大丈夫」と話すのが精いっぱいだった。