村田諒太、異例の公開テストでプロ合格
ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの村田諒太(27)=三迫=が16日、東京・後楽園ホールでA級ライセンスのプロテストを受験し、当日に合格が発表された。当初からのA級受験は史上初。前日本ミドル級王者佐々木左之介(25)=ワタナベ=を相手に公開された3ラウンドのスパーリングは、テレビで生中継される破格の扱いだった。「やるからには世界王者を目指す。誰からも認められるチャンピオンになりたい」とあらためてプロの頂点を目指す決意を示した。
やはり金メダリストは違う。8回戦以上に出場できるA級ライセンスを初めから受験するのは、日本のボクシング界では前例がない。日本ボクシングコミッション(JBC)が規定するプロテストは、4回戦までのC級、6回戦までのB級に限られるが、村田には特例が適用された。
心肺機能を上げるトレーニングが不足しており、スタミナ面は決して万全の仕上がりではなかった。「スタミナ配分を考えて、自分の技術を見せるつもりだった」と村田。得意のボディーからアッパー、フックにつなぐコンビネーション。さらに攻防のメリハリをつけて、ディフェンスでも佐々木のパンチをきっちり防いだ。
前日本王者は「ガードが堅いし、攻めるのが難しかった。防御はブロックが中心だったが、途中でL字ガードもやっていた。世界のボクシングをかなり研究していると思う」と村田のテクニックを高く評価した。
井上尚弥の試合後に、リング上でプロテストの合格を伝えられ、森田健JBC事務局長からライセンスを手渡された。海外での練習やデビュー戦を含めて、今後の具体的なプランが進展するのはこれから。「すべて皆さんに一任している。自分は決められた試合を勝つだけ。プロは一発で全部が変わる世界。練習でしっかり追い込んでいきたい」と限界に挑戦していく構えだ。
強豪がめじろ押しの重量級で、世界の頂点を目指す戦いがいよいよ始まる。「金メダルを取ったことは誇り。(金メダリストという)立場上、負けることは許されない」と、無敗でのタイトル奪取を見据えていた。