宮崎5回TKO「初防衛の方が簡単」
「WBA世界ミニマム級タイトルマッチ」(8日、ボディメーカーコロシアム)
王者の宮崎亮(24)=井岡=が、挑戦者で同級7位のカルロス・ベラルデ(22)=メキシコ=を5回2分22秒にTKOで下し、初防衛に成功した。これで宮崎はデビューから22戦負けなし。無敗王者は今後、現階級でのタイトル防衛か、1階級上のライトフライ級へ転向して2階級制覇に挑戦するかを選択する。
激しい打ち合いを、左フック一閃(いっせん)で制した。「右を放って左フックを返した。うまくタイミングが合って、考えた通りに倒れてくれた」。世界王者にふさわしい実力を、宮崎がようやく証明した。世界初挑戦だった昨年12月31日の前回は判定勝ちで、悔し涙を流したが、この日は完勝。「(世界王座を)取るより難しい初防衛の方が簡単だった」と、うっ屈した思いを晴らした。
4回までの採点は、ジャッジ3人とも38対38の五分。5回に勝負に出た。ノーガードで挑戦者を挑発。「あれが僕のスタイル。その方が次のパンチを出しやすい。でも、世界戦のリングは魔物がすんでいるので、いつもよりガードが上がってしまう」。セコンドの指示を無視した本領発揮が、KOでの勝利につながった。
ミニマム級2戦目の今回も、試合以上に減量で苦しんだ。主戦場は1階級上のライトフライ級。10キロ以上も体重を落とす負担は大きい。試合直前には「目がぼやける。左が二重に見えて恐い。ディフェンスの感覚が狂う」とトラブルに直面。スパーリングでは、パートナーに圧倒されて、1ラウンドで強制終了させられたこともあった。
夢は同門の一翔と同じ世界2階級制覇。初防衛成功でミニマム級を卒業したいのが本音だ。今後については「自分の意思もあるが、育ててくれた井岡(一法)さんと相談して、しっかり決める」と明言を避けた。
減量に苦しむ宮崎のために、所属ジムが用意した100万円のKOボーナス支給も決定。それでも、王者は「(仲間の)みんなにあげる。カネはいらない。リング上から、みんなの笑顔が見えて泣きそうになった」と、チャンピオンベルトの価値を再認識した。